Yesterdays New Quintet

もう一つStones Throwネタ。

オレがMadlibを意識的に聴き出したのは『Shades of Blue』からで、だからヒップホップのミュージシャンでありながらも最初から越境した状態でMadlibを認識していた。Madlibは色んなユニット名を持つめんどくさいタイプなので全ての音をイチイチ追いかけていられないけれど、Yesterdays New Quintetは作品が出るごとに聴いている。新作の『Yesterdays Universe』は、Yesterdays New Quintetでありながら曲毎にミュージシャン名を変えていて鬱陶しい事この上ない。CDとかのメディアでしか聴いていなかった頃より、MP3などへ変換して聴くスタイルになってからそういう事にわずらわしさを覚えるようになった。

そんな事と内容は関係ない。Yesterdays New Quintetはジャズ系インストバンドをやる時のMadlibのユニット名で、だから『Yesterdays Universe』もそういう音。丁々発止のソロとかは期待できないし、買ってはみたものの、あんまり聴いていなかった。けど、そういう状態は良くないと思い、改めて耳にしてみると悪くない。聴き流す事も可能なものだけど、「Umoja」で普通にジャズを聴いている気分になり、「Slave Riot」の禍々しさにニヤつき、「Marcus, Martin & Malcolm」のスピリチュアルなサックスにハッとする。その後はラテンタッチなものがあったりして小洒落たモノを好みそうな輩にも受け入れられそうな曲が続くけれど、長尺な「Vibes from the Tribes Suite」に聴かせる音が組み込まれていたりして気が抜けない。話題の「Bitches Brew」は、まあこんなもんって感じで、それよりも「Street Talkin'」の方にMiles的なファンクを感じるのは、Madlibのお遊びなのだろう。

若干危ういところもあるけれど、音質にMadlib流のヒップホップな意地があって、これがもしハイファイな音なら後半は聴き流したと思う。









Yesterdays New Quintet 『Yesterdays Universe