The Doldrums

ライブ鑑賞四連荘。昨夜は公園通りクラシックスに向かう。演奏を行うのはThe Doldrumsというユニットで、シンセの千野秀一、ギターの大上流一、ドラムの小林七生、ヴォイス・ナレーションの江川次彦。千野の名前と録音物での演奏を知っているだけで、他は何者かわからない。まあ、こういうのも楽しいだろうと思った。

演奏は1st2ndともに一曲ずつの演奏。完全即興かと思ったけれど、多分それなりに進行スケジュールがある。そう思ったのは、ヴォイスがヴォーカリゼーション的なパフォーマンスではなく、意味不明語をシューゲイザーの様に立ったままうつむいて言葉を発していたからで、まあ、実際はほぼインプロなのかもしれないけどハッキリした事は輪からなし、どっちでも構わない。そして、このユニットの最大の欠点がこのヴォイス。これが個人的には実につまらない。歌うという事以上に、言葉を語る事を人前で行うのは、声の重要性があがる。だけどあの声には何の魅力も無い。趣向の問題かもしれないけれど、お金をとって聴かせるようなものではない。あれなら路上パフォーマンスの連中の方がまだ聴かせてくれる。このヴォイス担当が何者かよくわからないけれど、今後この名前がライブに登場する時はオレはそのライブに行かない。

他の奏者はどうか? まず千野は、シンセ(多分アナログ)を使いベース音を発する事に始終する。時折効果音てきなものを使ったり、2ndの終盤にはアグレッシヴな状態も聴かせていたけれど、そこに至るまでは正直言って、「それならベース弾けばいいじゃん」と思っていた。正直言えばピアノを弾くのが聴きたかったけれど、まあそれは別の機会に期待。ドラムは非常にシンプルなセットで、音数の少ないビートを刻む。若干壊れ気味の叩きは外山明を思い浮かばせるけれど、あの領域までは至ってなく、外山的なドラムパターンをジャストのタイミングで入れてくるといったところ。だからわりと聴きやすい。もうちょい言うと、AOKI takamasaのリズムをドラムで再現している感じ。だけどドラムセットがシンプルなせいか、結構同じようなパターンの繰返しで、セットで一曲という場では正直飽きる。金物をあえて使っていないのか扱うのが下手なのかわからないけれど、その辺の音が時々聴こえてきてもあまり耳を惹かれなかった。まだまだわかそうなので今後に期待、か? ギターの大上はなかなかインプロらしい音を発する。要するにBaileyからの流れのヨーロッパのフリーインプロの流れを感じさせる。かなり勉強しているのかも。個人的には嫌いじゃ無いけど、もう少し単音でフレーズを紡ぐような演奏があっても良かった。ブツ切り音音を入れていくあのパターン、フレーズ的なものが出てくるときにも複数の弦を使ってしまう、それらの流れは個人的には殆ど展開が読めてしまうもので、音の意外性みたいなものは無かった。だけど音そのものは嫌いじゃ無いし、千野がベース音で演奏していた為にあまり使わなかったと思われる5弦6弦をもっと使った演奏ができるのなら、もう少し幅の広い演奏が聴けるかも。この人も若そうなので、今後は期待できると思う。

全体としては音の色気の足りない演奏だった。もし狙ってストイックな音を考えているのならあのヴォイスは明らかに不必要だし。2ndが始まって数分経った時、ハッキリ言って帰ろうかと思った。それは1stも2ndもほぼ同じように聴こえたからで、それぐらいあまり音、演奏内容に違いを感じる事は難しかった。だけど千野のところに書いたように、2ndの終盤に差し掛かった辺りからは千野の音もアグレッシヴなものが増え、ギターがそれに呼応する事によって1stとは違う展開が聴く事が出来た。もし、あのヴォイスがなくてサックスなんかが加わっていたらもっと面白いものが聴けたと思う。