unbeltipo+

ツアーの最後をいつものトリオではなく、昨夜のピットインでunbeltipo+として締めくくった。強靭なトリオにプラスして、松本治と相内昭徳という師弟コンビのトロンボーン×2、Miyaのフルート、マルチな梅津和時、キーボード＆ピアノの清水一登、パーカッションの岡部洋一が加わる。正直、オレはトリオでの演奏で満足だけど、前々から今堀が言っていた大きな編成での表現というものにも興味はあったので、それが実現された事に意味があったと思う。

やっとリリースされたunbeltipoの新しいアルバム『Pheasantims』のお披露目ツアーという名目でもあったけれど、それらは今までのライブで耳にする事が出来た楽曲。そこに上モノが加わる事によって、ピットインのHPに書かれている「トリオは伸縮リズムのみに特化している」という事の説明が成されたライブだった。

昨夜加わった明らかな危険分子の岡部。そして、さすがのソロを連発する梅津。だけど、それでも音はunbeltipoとしか言えないもので、トリオが作り上げてきたものが磐石な状態に来ている事がよくわかった。初めて聴いた清水もかなりヤバい音を出していたけれど、骨格は揺るがない。unbeltipoだけをやっているわけではない三人だけど、それでもここまでの領域に来ることはやはりその力量というものの証明なのだろう。

前になり後ろになりバンドをコントロールする今堀や、どんな音も余裕で受け止めてしまうナスノはこの辺の音を聴いているならば今更だけど、佐野の鬼気迫るドラミングは、個性的且つ強烈な芳垣安洋、吉田達也、外山明と同じように、「佐野が叩くのなら見てみたい」と思わせるぐらいの音になっていた。

要するに、トリオだろうと大きな編成だろうと、unbeltipoという名前がつくライブは強烈な刺激を与えてくれる。どうあっても凄いという事を見せてくれたけれど、すでにこの領域に来てしまった事が今堀のプランに入っていたのかどうかが、気になる。