Emergency!

久々のEmergency!。前回はいつだったのかとバックアップを見ると、2005年の12月。確かに去年はライブがあったけど行かなかった。そのせいで一年以上も間があいてたか。その05年の年末が初のEmergency!のライブ体験だったので、今回がやっと2度目。高めの期待値をもってピットインに連夜で向かう事にした。

一応ジャズをやる事になっているこのユニット、それなのに管楽器はいないしギターは2本。その二人のギタリストが大友良英と斉藤‘社長'良一とあっては、ジャズもへったくれも無いだろ?といいたくなるけど、芳垣安洋がそういう以上、他人が口をはさめる話ではない。だけど、芳垣が最も熱い叩きを聴かせるのがこのユニットで、南博のとこで叩いている時とはまったく違うジャズになっている事が微笑ましい。

1stは社長の印象が強い内容だった。2本のギターがいるという事は、それぞれ違う事をやらなければいけない。その結果なのかもともとの個性なのかわからないけれど、社長のギターは大友よりもトレブルの効いた音で、だから音の主張は強い。そしてあえて言えば、通常の弾き方におけるギターという意味では大友よりも社長の方が一枚も二枚もウワテで、だからメインのフレーズを弾く事が多いし、そこからのアドリブの展開はヤバイ方向に進んだブルース・ギターのようで、オレは勝手にHound Dog Taylor的なものを感じている。音楽の根っこ、ギターを弾き始めるところの根っこに社長はブルース〜ロックの流れで今のスタイルにたどり着いたと勝手に予想する。とにかく、アドリブ部分の攻撃性という意味で、これほどテンションの高いものはそうそう聴けない。ロック小僧は、社長を聴いたら悶絶する事間違いない。とにかくその社長の危ないギターにかなりやられる1stだった。

2ndでは一転、大友がさすがの音を繰り出す。1stでは社長の脇に徹していたかのような印象すらあったけど、2ndでは大友らしいエレクトロニクスに通ずるフィードバックが飛び出す。この時は他のメンバーも音をいれず、完全に大友のソロ状態。これはもう、ギターの弾き方を通常とは違うアプローチで挑む事の出来る大友ならではの音。あの音を聴いたのは大友のソロライブ以来。またピットインでソロライブやって欲しい。

ここまで名前を出していないベースの水谷孝。まあ、この個性的な面子に囲まれて思いっきり前に出る事はできるわけも無く、そんな気もさらさら無いだろう。この中では唯一黒子に徹したとも言えるれど、他の三人が熱上がりすぎな状態で音が錯乱寸前になっても、水谷のベースはしっかり先導を勤めていて、一緒に熱くなりながらそこにちゃんと道筋を作る。それがベーシストの役割と言われればそれまでかもしれないけれど、並みのベースならあのなかでちゃんとグルーヴ出来ないでしょ?

Emergency!のリーダーであり、昨夜から四日間はピットインの顔である芳垣。パワフル且つ煽りまくりなドラミング。もうイチイチこの人の演奏になにか書く事は無いけど、やはりこのユニットの時が一番テンションの高い叩きである事を確認出来た事は書いておく。

演奏された楽曲については前回見たときとあまり異なってはいないので割愛。でも、「At Last I am Free」というChicの曲は前回見た時はやってなかった(ちなみにこの曲、オレはRobert Wyattのカバーしか知らない)。ここでは芳垣がサビの部分を歌い、その歌声を披露。なかなかカッコ良かった。

このユニットのライブを見ると、とてもCDでは我慢できなくなる。それでも芳垣は「CD買え!!」と言うのだろうけれど・・・。