Marisa Monte

Marisa Monteを聴き出したきっかけはハッキリしていて、『Rosa e Carvao』をArto Lindsayがプロデュースという事を知ってから。その頃はまだあまり聴く機会を持っていなかったブラジルの音楽だったけれど、Lindsayが絡んでいればそういう事はどうでもよかった。そしてその『Rosa e Carvao』には特に強い印象を持たなかったけれど、以降もLindsayプロデュースが続き、だからあまり考えずに聴き続けていた。丁度一年前ぐらいに2作同時リリースされた『Infinito Particular』と『Universo Ao Meu Redor』は既にLindsayプロデュースでは無いけれど(『Memories, Chronicles and Declarations of Love』からLindsayプロデュースではない)、もう、ブラジル音楽がオレのなかでプライオリティーの高いモノに変わっていたので、躊躇無くその新作の購入を決めた。だけど、日本盤はCCCDで、その頃入荷されていた輸入盤も軒並みCCCDタワレコも新宿と渋谷、Disk Unionなどを探してもCDDAは見つからず、ネットも全滅状態。秋頃には購入をあきらめ、こうやって聴きたいものが聴けない状態になれば、オレの財布も少しは重さが残るだろうと諦めた。ところが昨年末か今年の初頭だったか覚えていないけれど、たまたま新宿タワレコでCDDAを見つけ、「今頃かよ・・・」と思いながらも購入。但し、既に聴きたい感情はおさまっていたので、iPodには転送済みだったけどなかなか耳にしていない状況が続いていた。

ブラジルNo1の歌姫とか代表するとか、そういう事を書かれているのをよく見かける。まだまだ修行の足りないオレには実際そうなのかどうかまではわからないけれど、オレがブラジルの女性歌手で最初に頭に思い浮かべるのはMarisaで、MPBという枠で見れば、大ベテランのCaetanoより下の世代でマトモに聴き続けてきたのもMarisaだけ。強い印象は無いけれど、聴いていて気分を良くさせる成分をMarisaの声から感じ取っていて、それは強烈に個性的な声というものとは違い、だけどよくある歌声とも違う。ボサノヴァほど抑制された歌声ではなく、だからと言ってラテンの情熱のままに歌い上げるでもない。この言い方だと、中庸という言葉が当てはまるかもしれないけれど、あえていい意味で中庸と言ってもいいかもしれない。実際、ポップスな楽曲メインの『Infinito Particular』も、サンバな楽曲メインの『Universo Ao Meu Redor』も、現代的な意匠は施されていても、曲の骨格そのものは伝統的なものを踏襲しているし、結局その部分があるから、この人の歌に惹かれるのだと思う。

この2枚のアルバムを聴いていて、他のアルバムとの大きな違いは思い浮かばないし、それを探す気も無い。何も考えずにどちらかのアルバムを聴いたり続けて聴いたり或いはシャッフルして聴いたり、そうやって楽しんでいる。









Marisa Monte 『Infinito Particular』









Marisa Monte 『Universo Ao Meu Redor』