組原正

Frictionが属したことになる東京ロッカーズというシーン。それについて、Friction以外は『東京Rockers』というコンピを聴いただけで、結果Friction以外のバンドの音には興味を持てず、そういう事実があったことしか知らない。もちろん『東京Rockers』に収録されていたバンドがそのシーンの全てだったわけでなく、それ以外のバンドというのも何かしらの形で名前は目にはしていた。それでも特に興味が沸くわけでもなく、現在までFriction以外の東京ロッカーズに興味は無い。その東京ロッカーズに属するバンドに、グンジョーガクレヨンというバンドがある。名前しか知らなかったわけだけど、とりあえず現在でも活動を続けているバンドらしい。そのグンジョーのギタリストの組原正についても名前も知らなかった。だけど、坂本龍一の『B-2 Unit』に参加していたという事から、少なくてもその音は聴いた事があることになる。その組原が、Frictionの属するPassレーベルの再始動第一弾として、ソロアルバム『Hyoi』をリリース。常にアンダーグラウンドな存在といえる状況でありながら、音を出す事を続けてきた者の音に興味が沸かないわけは無く、『ミュージック from フィンランド』の帰りにタワレコに寄って手に入れてきた。

ギターとエレクトロニクスな音を取り込み、再構築して作られたと思われる『Hyoi』は、演奏のスタンスとしては即興的なものだろう。組原は「パンクのDerek Bailey」と呼ばれる存在らしく、そういわれるだけのフリーキーな音とフレーズが確認できる。『B-2 Unit』に参加していたという事を知ってしまったせいか、リズミカルなバックトラックが聴こえるものは『B-2 Unit』のリズミカルなトラックのリズムを更に編みこんだような印象。そして打ち込み的な音とギターという組合せは、Baileyの『Guitar, Drums 'n' Bass』を思わせる。組原本人がどう思っているのかは知らないけれど、ここにあるのは追求してきた音であるのは間違いないけれど、そういう重さみたいなものを感じたり考えたりしなくてもニュートラルにこの音に触れれば、この音の魅力に気付く事ができるはず。いや、圧倒的多数で気付かないか。そう思えるロマンチストな考え方は、今のオレには無い。









組原正 『Hyoi』