Orquesta Nudge! Nudge!

前回見たのはいつだっけ?と思い、ブログのバックアップを開いてみると昨年6月のW杯の時期だった。さらに当日は22:00からW杯で日本対クロアチア戦があった日。日本代表戦よりもライブを見る事を優先させた事でオレにとってのプライオリティが確認できるけれど、それがもしW杯の決勝だったら行動は違っていたかもしれない。

とにかく、約一年ぶりのOrquesta Nudge! Nudge!のライブ。前回はピットインだったけど今回はスーパーデラックス。たしかにSDLXの空間は、ONNにあっているかもしれない。実際、今回のセッティングはフロア中央にONNの面々が向かい合うように集まっていて、この間のV∞redomsや内橋 / 外山のセッションを思い出す。

ONNは昨年のライブ以来CDも耳にしていないけれど、緊張感を生むと言う点を考慮すれば、CDでの印象よりもさらに静かに音を鳴らす場面が印象に残るライブだった。激しく音が上がる場面も多いのだけど、手元で扱う小物による音の配置は、空間に音が広がるのを固唾を呑んで見守るようなところもあり、それがこのユニットの最大の特徴だと思う。音楽的にはアフリカをベースにラテンのリズミカルな部分を注入し、さらにそれ以外の音楽からの影響も感じるのだけど、とにかく音数が少ない部分においての音のセンスは、微音弱音がジャンルとして確立された後の現代の部分だともいえるし、その音色にアフリカの音を感じるけれど、センスみたいなものはそれとは違い、日本的なものとも、芳垣安洋個人のセンスだとも思えて、興味深い。

熱が増し音数が増え、リズミカルからダンサブルに移っていくところにはラテンの影響を感じるけれど、そこにある一定のトーンみたいなところ、熱狂するのではなく、どこかにクールな視線を置いているところにも、何かしらのセンスのようなものを感じる。

ONNは基本的に打楽器奏者の集まり、或いは打楽器も扱える演奏者を集めているはずだけど、例えば高良久美子ヴィブラフォンは打楽器であると同時に旋律を奏でることも出来るし、ティンパニーもそういう楽器で、それらはONNをリズムのみのユニットという言い方をさせない働きをするけれど、それらも打楽器的な扱いでもあり、だけどやはり奏でる旋律は何かへの誘導の様でもあり、端折ってもいいかもしれないけれど、2時間の演奏の中にそういう音が役に立つ場面も少なくない。




当然のようにベース(ギター)のいない編成なのだけど、不思議と前日に見たライブよりもグルーヴを感じた。それが何と言うつもりじゃなくて、今のオレの音の趣向は、やっぱこっち側なんだと確認。そろそろONNも新作CDかなんか出て欲しい。

昨夜の演奏は文句の無いものだったけど、座席の配置は問題ありだったと思う。集客が読めなかったのか、立見を考慮してない配置になっていて、当然早めに入った人は着席していたのだけど、遅めに入店した人は席が無く、しかもテーブル席とONNの間が結構開いた状態なのに、そこに立つと座っている人達には邪魔になる状態。なので立見はところどころに固まっていたのだけど、1stが終わって2ndになる頃には、座っている人の事なんか気にせず自分の事で精一杯な連中がONNの周りに立ち始めて、結局着席していた人達は視界がかなり狭まったと思う。オレは1stは座っていたのだけど、2ndはそうなる事を察知して、席を外して着席している人の邪魔にならない後方で立って見ていたのだけど、その判断が出来なかった人たちは多分不愉快な思いをしたはず。楽しみ方はそれぞれ、というのは基本なのだけど、他人の迷惑にならない事が前提にあっての事なので、昨夜のはそれぞれということにはあてはまらず、単なるワガママ。最近の若い連中の得意技である、どんなところにでもケツを落として座るという状態を選べばよかったし、或いは他の客の視界の邪魔をする事が平気なくせに、芳垣の後ろ側はスペースがあったにもかかわらず、そこに行く度胸は無いのが不思議(一人二人しかいなかった / あそこに七〜八人いても邪魔にならなかったはず)。ハコに入るという事は、やはり先に入った人ほど好条件になるというのは皆が知っている事のはずなのに、後から入った人の方が好条件になった昨夜のような状態は歓迎出来ない。とは言っても、昨夜は客の側の意識の問題より座席の配置が全ての要因なので、次回こういう状態でライブをやる時はそれが改善される事を期待します。