Henri Salvador

これもレコファンの輸入盤¥200引きの時に購入しながら、聴かずに放っておいたもの。Henri Salvadorは『Room with a View』が流行った時に、そのジャケットの感じも良かった事から予備知識ゼロで購入。今は手元にCDが見つからないし、どんな音だったかの記憶も殆ど無いのだけど、まあまあ良かったような記憶は残っていた。ただし、その後特にフォローしてたわけでも無いので、大きく気に入ったものではなかったはず。なのでなんとなく購入した新作『Reverence』も¥200引きと、ジャケットがなかなかいい感じじゃなければ購入しなかった。



オープニングの「Vie C'est La Vie」は、ブロードウェイ・ミュージカルが好みそうなジャズ風味。

2曲目の「Mourir Honfleur」は、ストリングスを効果的に使ったジャズ。夜っぽい。

3曲目の「Dans Mon le」は、Henriが若かりし頃に発表した作品のセルフ・カヴァー。この曲を聴いてAntonio Carlos Jobimがボサノヴァを作ったといわれているらしい。確かにこの曲の優雅な雰囲気は、ボサノヴァに通ずるものがある。

4曲目「Cherche La Rose」はCaetano Velosoとのデュエット。やわらかく語りかけるようなHenriの歌声は、Caetanoの声や発音の独特さをより引き立たせる。

5曲目の「Amour Se Trouve au Coin de la Rue」はビッグバンドをバックに、これもブロードウェイ・ミュージカルが好みそうなジャズを歌う。アルバムの中で最も明るく華やかな雰囲気があり、アルバムのアクセントとして機能。

6曲目「Tu Sais Je Vais T'aimer」は一転してスロウな曲。ストリングスとピアノのバッキングがドリーミーという恥ずかしい言葉を思い浮かばせる。

7曲目「J'Aurais Aim」では、前曲の編成にベースが加わる事によって、夜の雰囲気を演出し、さらに中盤からアコギのボサノヴァを思わせるコード音が効果的に加わり、楽曲のアクセントを演出。

8曲目の「Italie (Un Tableau de Matre)」はなんとなく聴いた事のある曲調で、タイトルから察するにイタリアの音楽かと思うのだけど、オレは違う。オレはDavid Lee Rothの『Crazy from the Heat』に入っている「Just a Gigolo」が思い浮かんだ(オレの出自が・・・)。

9曲目「D'abord」も、優美なストリングスが全体を包み込む。なんだか、ここまで自分のキャラに合わないものを聴いていると、少し恥ずかしくなってくる。

10曲目「Les Amours Qu'on Delaisse」。ここで久しぶりに、ボサ的な曲が登場。少しホッとしながらも、相変わらずのストリングスにまだ気は抜けない。

11曲目「Alleluia, Je L'ai Dans La Peau」はジャジーなブルース。Ray Charlesのカバー。ストリングが外れ、サックスやエレピが雰囲気を演出。コーラス隊もいい。

12曲目「Les Dernieres Hirondelles」もボサ風味。相変わらすストリングスが絡んでくるけれど、ギターのフィンガリング・ノイズがタイミングよく入ってきて、何故か落ち着く。

13曲目、アルバムのこの終曲「Tu Sais Je Vais T'aimer」は、Gilberto Gilが参加。これもボサ風味と言える。柔らかく奏でられるピアノ(とストリングス)の上で、GilとHenriが雰囲気重視の歌を聴かせる。



全体で見ると穏やかで、時間が止まるような印象。このアルバムのような音とかボサノヴァの様な音をメインに聴けるようになれば、オレももう少しアヴァンな方向から外れることが出来るんだろうなあ、と思うけれど、内橋和久 / 吉田達也の3枚組みを一気に聴いてもOKだけど、このアルバムを繰返し聴く気にならないことを思えば、そういう事は当面は無いという事がよくわかる。









Henri Salvador 『Reverence』