Patti Smith

ここのブログに書いているゴチャゴチャの感じからすると、なんとなくオレはPatti Smithを好みそうに見えると思う。でも実はあまり好きじゃない。これだけのビッグネームなので、『Radio Ethiopia』と『Easter』は一応持っているけれど特に印象に残っていないし、念の為『Land (1975-2002)』も試してみたのだけど、それも気に入らなかった。NYパンクを作り上げた功労者であり、元MC5の故Fred 'Sonic' Smithをハズバンドとしていたというストーリーは興味を引くところだけど、やはりその音が好みに合わなければ、それを気に入る事は難しい。

そんな状態でもPattiの新作『Twelve』を購入。『Twelve』はカバー集なので、もしかしたら気に入るような気がした。選曲も過去のロックの名曲が多く、そのストレートなセンスは嫌いじゃないし。その中にMTV世代の名曲、Tears for Fearsの「Everybody Wants to Rule the World」や、比較的新めの楽曲であるNirvanaの「Smells Like Teen Spirit」が入っているのもいい。

演奏はカントリーを感じるロックで、シンプルかつ少しだけ骨太感がある。なぜNYパンクだった人がこういう音になったのかよくわからないけれど、この音が今のPattiにとって正直な選択なのだろう。こういう余計な装飾の少ない音は、繰返し聴く事に耐えられるものに仕上がる。が、やはりオレは気にいらなかった。なんとなくわかっていたのだけど、Pattiの声が苦手。個性とも言えるけれど、この人の声は女性を感じさせない女声。いろんな意味で色気を感じない。今の声だけじゃなくて若い頃の声も苦手。そういえばUAがシングル「雲がちぎれる時」のカップリングで「Because the Night」を歌っていて、その後少しずつUAのエキセントリックな声が出てくるようになるのを聴きながら、Bjorkに似てきたと思うと同時にPattiにも似ていると思った時期もあった。その後UAは歌だけじゃなくて、ビジュアル的にも音楽的にも、よりBjorkを感じさせる部分が目立ってきたのでPattiに似ていると思った事は忘れていたのだけど、この時期にその三者のリリースが重なった事によってそれを思い出した。

脱線したけれど、声とか音そのものとか、それが好みかどうかは大きく印象を左右する。少しもったいない気もするけれど、仕方がない部分。「The Boy in the Bubble」とか「Smells Like Teen Spirit」とか、声以外は演奏も歌もEddi Readerとの親近性を感じるのだけど、その部分が好きか嫌いかの境目になってしまう。



ちなみに名曲「Because the Night」を初めて聴いたのは、Bruce Springsteenの『Live 1975 - 85』に収められているバージョン。Pattiの名曲として名高いこの曲だけど、作曲はボス。オレはそのボスが歌ったバージョンの方が、Pattiのオリジナル・バージョンより気に入っている。









Patti Smith 『Twelve』