内橋和久 / 外山明

世間はGW。オレもGW(GWって書くとDolphyの「G.W.(Gee Wee)」が頭に浮かぶ)。が、特に遠出するでもなく東京に閉じこもったまま。休みの日というのは昼間からビールに手を出しても問題ない事が一番の利点。とは言いながらも、数年前まではランチ・ビールという手を時々使ったりしてたけど。とにかく、昼間に飲むビールは美味い。暖かいというよりも暑くなりつつあるこの季節、昼間にライブを見ながらビールを飲めるのなら、それは至福な時間。という事でピットイン昼の部。初の昼の部。勿論何でもいいわけではなく、内橋和久と外山明のセッションだから足が向く。前にも昼の部でこのセッションがあったのだけど、それは普段日だったか違う理由だったか覚えてないけど、とにかくいけなかった。何でこんな組み合わせを夜の部でやらないのか?と思ったけれど、そんな事オレが言っても仕方がない。まあとにかく、昨夜、じゃなくて昨日の昼間、ピットインに行った。

客入れ前にピットインに着く。休日とはいえ大型連休だし、集客はどんなもんかと思っていたら、10人は超えていて予想以上。客入れが始まり中に入るとステージを使わず、フロアの中央にドラムと内橋の機材がセッティングされていて、その周りに客席が配置されている。いわゆる円形状態。時々こういう形態でライブをしているというのは知っていたけれど、オレは初めて。果たして何処に座るのがいいポジションか悩んだけれど、結局適当に座る。ビール飲みながらタバコを吹かしボーっとしていると内橋と外山の登場。ふと周りを見回すと、思った以上に人が入っている。GWなのに皆暇なのか、それとも余程これ系の音が好きなのか、とにかく、寂しい状態じゃなくて良かった。



ヤバいギタリストとヤバいタイコ叩きが向かいあって演奏を始める。外山は終始内橋の同行を伺い、内橋はあまりそれに注視せず、自分の演奏に入り込む。ドラムとギターという組み合わせなのに、ギター(或いは内橋が操るエレクトリックな仕掛け)がリズムを先導し、ドラムの音が上モノの様に入り込む場面が多々ある。チキチキいったりガシガシしたり、静寂を見つけたり隙間を埋めたり、使っている楽器が何かという事を差し置いて音楽が進む。行き先は決めていないのだろう、あまりにも自由に音が溢れ、変化を繰り返す。

藤井郷子に「やりにくい(笑)」、カヒミに「虫みたい」、iLLに「空間がグニャっと捻じ曲がる感じがする」と言われる外山のタイコ。その本領を思いっきり発揮。明らかにポピュラー音楽以外からのリズムの影響を多分に含んだ外山の音は、その影響を解体してサンプラーにぶち込んで、それをリアルタイムで選んで再生しているかのよう。そんな外山のタイコにもペースを崩されない内橋。めまぐるしく変化を加える様は、何処まで着いてこれるのか楽しんでいる様でもあり、意地悪な見方をすれば外山に崩される前に変化をつけているようにも思える。どっちにしても、こんな音は内橋以外で聴くことは出来ないけれど。

アンコール、内橋がドラムセットに座り「ふざけているのか?」と思っていたら、外山も内橋のギターを手に取る。卓上の仕掛けをみて、「何これ?」と内橋に問いかけ、「ディレイ」と答える内橋。そのスイッチをオンにし、おもむろにギターをいじる外山、そしてリズムを叩き始める内橋。「おいおいおい」と思っていたら、一分ほどで「これ、どうやって切るの?」と外山が問いかけお遊び終了。そういうお笑いをかました後、最後は短いけれど思いっきりハードな音を叩き込んでライブ終了。毎月やればいいのに。土曜の昼の部とかで。