Paul Motian

特に気にしていたわけでもないのに、何故か手にとる事の多くなったPaul Motian。今年もすでに新作『Time and Time Again』がECMからリリースされている。

『Time and Time Again』は、サックスのJoe RovanoとギターのBill Frisellがフィーチャーされていて、一見、昨年のFrisellが実質的なリーダーの『BF / RC / PM』と近い印象。ベースのいない編成なのに、あまり低い音や強い音を使わないMotianに、RovanoとFrisellが、クールに、洗練された音を重ねる。ジャズの深遠。この音には抗えない。









Paul Motian 『Time and Time Again』




Paul Motianの歩みについては他の投稿でも書いたので割愛するけれど、この人の叩かない装飾は、他にはマネの出来ないものだと思う。オレの知っている中では、最も美しいドラム。

特にその名前を探したりしなくても、ある程度ジャズを聴いていてばいくらか耳にする事のあるJoe Rovanoは、個人的にも特に気にしているプレイヤーではないのだけど、ここでの抑揚の効いたライン取りは、MonkのカルテットのCharlie Rouseの様に、Cecil TaylorのユニットのJimmy Lionsの様に、Motianの音楽を作り上げる事の重要な役割を担っている。

そして、オレの愛するギタリストの一人、Bill Frisell。強烈な個性を放つ事も可能でありながら、音楽の空気を読んだ演奏を心がけるこのギタリストは、ここでもMotianの為にギターを弾いていて、静的で官能的な音を披露。

語らない事が雄弁であるという面を、『Time and Time Again』から聴く事は難しくない。