Tha Blue Herb

いよいよ再始動のTBH。彼らの言い方では第三幕という事になるらしく、その先鞭を告げるシングルとしてリリースされた、そのまんまなタイトルの『Phase 3』。TBHはこれまでラップのBossとDJのO.N.Oという布陣だったけれど、今回からライブでのサポート・メンバーであるDJ DyeがCutsという形でクレジットされ、ジャケットも三人が写った写真が使われている。音自体には特に大きな変化はみられないけれど、タイトル曲「Phase 3」の冒頭、まるでバンドの様に「1、2、1-2-3」の掛け声に続いて、女声で「Let's Go」と始まった時は一瞬ビックリした。それ以降は前に進みながら洗練されてきたTBHらしいトラック。Bossのライムは、あくまでもTBHのシーンへの復帰を告げる為のリード・シングルとしての内容といったところで、まあ、よくも無く悪くも無い。ただし、立脚点があくまでもヒップ・ホップシーンと、それに関わる自分の周辺に限定されている気がして、オレが「The Way Hope Goes」を聴いた時に期待した、もっと違う視点からの言葉はみられない。でも、あくまでもアルバムへの布石であると言う点を考慮して、とりあえずこれはこれでOK。ただし5月に出る『Life Story』が、もし、結局今までと同じ事を言葉を変えて歌うだけならば、そろそろオレにTBHは必要の無いものになるかもしれない。









Tha Blue Herb 『Phase 3』




TBHには期待が大きい。期待させるモノを確実に持っているという事もあって、ちょっと評価は厳しいかもしれない。現状、日本人の作る言葉で期待できるのはBossぐらいしかいない。だからこそ期待は大きい。O.N.OTBH初期の頃から比べれば、「未来は俺等の手の中」で掴んだと思われる、一見クールな感触のエレクトリックな音の中に、泥臭さを混入させたようなトラックを完成させた事と同じぐらいのステップ・アップをBossにも期待している。足元はとっくに固まっているはずだから、そこから離れて違うものを見る事で、Bossが歌える事はもっとある。