Tinariwen

数年前のMMで、『The Festival on the Desert』というコンピを紹介したのが、昨日のTartit等が日本でも紹介されるきっかけだったと思う。それ以前にも多少そういう動きはあったけれど、『The Festival on the Desert』を紹介したのは決定的な出来事で、なぜそう言い切れると言うかと言うと、元々アラビックなものに興味の無かったオレがそれを手にしてしまうぐらいの仕掛けが『The Festival on the Desert』にはしてあったから。なんか大げさだけど、その仕掛けというのはRobert Plantがその『砂漠のフェスティバル』に参加しているという事で、確かにLed Zeppelinの「Kashmir」等を思い浮かべてみれば、Plantがああいう音に興味を持っていたという事はちゃんとつながる。という事で、「UKのロックシンガーも参加した砂漠で行われた現地系のミュージシャンによるフェスティバルの実況録音盤」という事で、『The Festival on the Desert』を聴いていた。ライブのコンピという性格上、それぞれのミュージシャンの個性を聴くというよりも、その雰囲気みたいなものを味わうものであったため、それなりに楽しみはしたけれど、参加したミュージシャンについての知識はゼロのままだった事がTartitで露呈してしまった。

で、Tinariwen。このグループも、『The Festival on the Desert』参加組。今まで気にした事は無かったわけだけど、新作『Aman Iman』を渋谷タワレコの大々的なプッシュを見て、「聴かないといけないんだな」と思いレジへ。

どうやらTinariwenは「砂漠のブルース」というカテゴリーの代表格らしい。なんだかよくわからないけれど、聴いてみると個人的にはやはりRachid Tahaを思い浮かばせる。アラブなポップス(ロック?)を現代的に聴かせるという感じとでも言えばいいのか、まあ、そういう事。Tartitはなんやかんや言って、現代性よりはプリミティブな音の魅力だったけれど、Tinariwenは全編モダンな音。そういった意味ではTahaとタメを張るのだけど、TahaがそこにSteve Hillageによるエレクトリックな化粧を施しているのに対し、Tinariwenはダブ的な手法はあるけれど、さらに地に足の付いた音でグルーヴする。









Tinariwen 『Aman Iman』




で、このCDが面白いのかどうかと聞かれると正直困る。というのも、面白いと言い切るには予想のつく音で、意外性みたいなものが感じられなくなりつつあって、そういう意味で面白いという事が難しくなってしまった事が関係している。簡単に言えば、違和感があって面白く感じていたところに違和感を感じなくなってしまった。だからといって、アメリカとかUKのロックやポップスと同じ様に聴けているわけでもなく、でもツマラナイわけでもなくという、微妙な状態。Tinariwenのメインを張るヴォーカルと、Tahaのヴォーカルが似ているように感じてしまっているという事が、まだまだこの手の音の差異を感じ切れないオレにとっては、もう少し個性の違いを感じられる歌声であった方が面白みが増したかも。