Noel Akchote

Kylie Minogueといえば、オーストラリア出身ながら、80年代の終わり辺りからUKでアイドル歌手としてブレイクした人で、洋楽を聴いている人ならば一応名前は知っているはず。洋楽系の女性アイドルといえば『Like a Virgin』でブレイクしたMadonnaとか、最近ならBeyonceとかBritney SpearsAvril Lavigneあたりが思い浮かぶけれど、Kylieは個人的には最もルックスが好みだったりする(要するに線の細い方が好みという事)。だけど、この人が最も売れていたような時期は日本では洋楽系のアイドルは不遇な感じで、オレもルックスは好みといいながら、音楽自体は全然聴いていない。

そのKylieの曲を、フランス人ギタリストのNoel Akchoteがソロ・ギターでカバーしている、意図がよくわからない『So Lucky』というアルバムがWinter & Winterからリリースされた。Akchoteといえば、昔MMのインタビューで灰野敬二の悪口を言っていて、あえて日本の音楽誌にそういう事を言うあたりに性格の悪さと頭の良さを見て取れるのだけど、この人の音楽もかなり興味深いもので、Derek Baileyと共演した『Close to the Kitchen』から聴き続けている。そのAkchoteがKylieのカバー。嫌らしさ全開な企画だけど、その分興味深いわけで、まんまと術中に嵌っている。

『So Lucky』に入っている曲でオレが知っていたのは、カバー曲の「Locomotion」と「Crying Game」、そして日本のWinkがカバーしていた「Turn it into Love」の三曲程度。それ以外の楽曲は知らない曲だったけれど(なんとなく聴き覚えはあったりしたけど)、Akchoteはメロディーを活かした演奏をしていて、アヴァンの印象は少ない。ふと思い立って爪弾いたかのような演奏が詰まっていて、よく聴くとやはりかなりの腕利きである事が確認できる。で、これ、Akchoteを聴き続けている人にはいいとして、それ以外の人が聴くと誤解が生じる事間違いなし。灰野敬二の悪口を言って、Baileyと共演しているという事実からもわかると思うけれど、こんなに普通にギターを弾く人ではない。Kylieファンがこのアルバムを買って、「なかなかいいギタリストだな」と思って、別のAkchoteのアルバムを買ったりしたら面白い。で、そっちに嵌ったりするとさらに面白い。まあ、そんな事は考えにくいけれど。

とにもかくにも、気持ちのいいアルバム。小洒落たところでかかっていても違和感なし。そういうところでAkchoteが流れているというのも、想像すると面白い。でもそれが『Sonny II』とかならもっと面白い。妄想は膨らみ続ける。









Noel Akchote 『So Lucky』




Kylie Minogueがブレイクした頃、その楽曲を主に手がけていたのはStock, Aitken & Watermanというチームで、これをもじったのがStock, Hausen & Walkman。SH&Wをよく聴いていた頃、まだオレはあまり現代音楽を知らないウブな状態で、Stock, HausenがStockhausenをもじったと気付いたのはここ数年だったりする・・・。