Eddi Reader

Eddi Readerといえば、いまだに「元Fairground Attractionの」という前置きが必要なのかもしれないけれど、実はFAはマトモなアルバムは一枚しか出していないし、その活動期間は大して長いものではなかった。圧倒的にEddiはソロとしての活動の方が長いにもかかわらず、FAを持ち出す理由は『The First of a Million Kisses』に収められたヒット曲の「Perfect」があるからで、それも、今30代前半ぐらいまでの年齢なら、わからない人も多々いると思う。オレは一応FAの頃からEddiの歌を聴き続けているのだけど、特に認知度が上がるわけでもないし、かといって、日本盤が出ないほど苦しくもならない状況を見ていて、歯がゆい思いと、それでも彼女の歌が聴き続けられているという状況に対する満足と、両方が入り混じる。

新作『Peacetime』は、特に新機軸があるわけでもない、今までのEddiらしい音楽が詰まっている。アイルランドらしい少し土着的だけどアメリカのそれと比べれば透明感のあるフォーキーな音を、アコースティックな楽器主体で作り上げる。Eddiの、線は細いけれど安心感を与えるという矛盾した歌声はかげりを見せる事も無く、伸びやかに可憐にストレートに響く。これは、変貌する必要の無い音楽。









Eddi Reader 『Peacetime』




一応投稿を書くときは、それなりに前のものと関係のありそうなものを手持ちのネタから探しながらつながるようにしているつもり。だけど、つながりが無くなれば方向転換するしかないし、その回数が多い方が本当はバランスが良いのだと思う。昨夜のTraceyのは日本海方面の為にぶった切ったパターンで、本来ならばつなげるネタはまだあるのだけど、たまにはこういう事もありだろう。で、Traceyの次を考えてみると、あの中に含まれるネタを考えれば実は結構いくつも手がある。で、考えた挙句、というほどでもないけれど、手に入れてから一ヶ月以上経過してしまったEddi Readerの新作『Peacetime』を、女性シンガーつながりでつなげてみた。ちなみに他につなげるとすれば、エレクトリックなポップスという方向か、音楽的には全然つながっていないけど無理やり名前を書いた人のバンドとしての新作だった。



もう、10年近く前の話だと思うのだけど、知人の女性に「なんかいい感じのCD貸せ コラ」と言われ、「いい感じ」という漠然とした要求に対してオレは、「パフィーか? パフィーのCDをオレに貸せと言っているのか? 何でオレがパフィーのCDを持っている事を知っているんだ? ストーカー?」とか思ったけれど、でもオレの持っているパフィーのCDは残念ながら『No Way Out』ぐらいだったので、多分それは違うだろうと推測。それで、何枚か女性シンガー系のものを貸したのだけど、その時に当然のようにEddiのCDも貸していて、それを返しにきた知人は「こんな可愛らしいのも聴くんだ・・・」と、ちょっと意外というか、気持ち悪いとでも言いたげな顔をしていた。Eddiの歌に可愛らしいという言葉が合うのかどうか、今でもオレにはわからないのだけど、まあ、確かに声は少し甘めだったりするし、その知人はオレはジャズ聴きだという事を知っていたので、そういうビターな音を期待していたのに違うものだったという事からそういう事が言葉になったのかもしれない(大体オレはダサダサのロックファンなのに、何故かオレにCD貸せというやつはジャズとかヒップホップとかラテンとかクラブ系とか、そういう方向のものを要求してくる、なんで? ロックならElvisからNirvanaまで体系的に聴かせていくらでも教育するのに・・・)。が、なんとなくその言い方が気に入らなかったオレは、またしても「なんかいい感じのCD貸せ コラ」と言われたときに、いい感じなジャズ(Coltraneの『Ascension』と阿部薫の『なしくずしの死』)と、いい感じなヒップホップ(BDPの『Live Hardcore Worldwide』とECDの『Walk This Way』)を貸して、二度とオレに「CD貸せ」なんて言わせないようにしてやりました。めでたしめでたし。