Unbeltipo Trio

ナスノミツルは最近デコポンがお気に入りらしい。今堀恒雄晩白柚を薦めていた。そして昨夜のライブの前日、ナスノはテレビで『花より男子』というドラマを見て号泣したと・・・、初めて見たのに号泣らしい。その『花より男子』を佐野康夫は元々チェック済みで、そのドラマに出ている井上真央は『キッズ・ウォー』というドラマの頃からチェック済みとアピール。そして何気に話の流れから、今堀が『キッズ・ウォー』を夕方の再放送で見ていた事も明らかになった。

と、Doubtmusicの社長沼田氏の指南により(同レーベルのブログ参照のこと)、ナスノが流暢なMCを喋るようになる為の訓練なのか、2ndセットでこんな会話が結構長めに行われていた。ぶっちゃけ、別に彼らの趣味趣向には興味はないけれど、こういうMCが面白いという事は否定しない。

という事で、昨夜はピットインでUnbeltipo Trioのライブを見たのだけど、もう何回目になるのかわからないけれど、恐らく、今まで見た中でも最も凄い演奏内容だった。これまであまり意識していなかった佐野のドラムもガツガツに前に出ていて、かなり強烈なドラミングを聴いたと思う。記譜されているものとはいえ、あの手数は結構半端無い。他のライブで見る事がないから断言できなかったけれど、この人も間違いなく特別なドラム叩きの一人である事はハッキリした。あの華奢な体であれだけのハードヒットをガンガン繰り出す事が出来るのも才能。今堀とナスノについては今更何を言っても同じことの繰返しになるので端折るけど、ナスノは案外、その実力を出し切るバンドとしては、Altered StatesよりもUnbeltipo Trioの方が当てはまるかもしれない。ASでは即興という事が緊張感を生むけれど、ひたすらフリーキーに走ってしまう可能性もある内橋和久や、それを徹底的に煽ってしまいそうになる芳垣安洋という危険なメンバーをギリギリ押さえつける役割を担っているので、恐ろしく譜面に強いというナスノが全てを出し切るのは難しいと思えるところがある。それに比べてUnbeltipo Trioは、まあ、常人にはこなせない異常な楽曲をキッチリこなし、更に演奏にグルーヴを与えるという役割を背負う。枠があるからこそやれる事もあるはずで、それをナスノは楽しんでやっているように見える。そしてここや他で得るものをASにフィードバックするのだろう。まあ、どちらかという言い方は間違っていて、相乗効果が生まれるはず、と言う方が正しい。

こんな独り言もいいたくなるほど、昨夜の音は凄かったと思う。このグループの現在地は、恐らく世界中のロックバンドで比類なきところに来ている感じがする。

今までUnbeltipo Trioをロックバンドと言い切るのは中々難しかったけれど、昨夜のライブを聴いていて、やはりこのカタルシスはロックだとしかいえないだろうと思った。プログレッシヴ・ロックから冗長さを剥ぎ取って、「要らない」と思うところが全然無い演奏を繰り広げる。このバンドはアヴァンやジャズファンなんかより、とにかく凄い演奏が聴きたいと思っているロックファンに向いている。