Ingebrigt Haker Flaten

Atomicのベーシストであり、実質的リーダーのIngebrigt Haker Flatenのユニットでの初作『Quintet』。先のOla Kvernbergはこのユニットにも加わっている。Kvernbergは元々オーソドックスなタイプのミュージシャンで、何故か急にこのユニットに呼ばれるという事になったらしい。このユニットに加わった事が結果的に『Night Driver』という作品を作るに至った経緯なのだろう。『Night Driver』では少し弱く感じたヴァイオリンの音も、リーダーがしっかり考え込んで組み入れたと思われるこのユニットにおいては、効果的なものになっている。そしてこの『Quintet』を聴いてオレが一番耳を奪われたのはギターだった。このギターの過激さは、北欧系には無い類の音。電気を撒き散らすような音はジャズやアヴァン系というよりも、Steve Albiniなんかに通じるものがある。このAnders Hanaというギタリストの名前は初めて見る名前だと思ったけれど、調べてみるとdoubtmusicから『Morthana with Pride』という作品を出しているAndrew d'Angeloのユニットのギターである事がわかった。確かにあのユニットのギターとドラムはノルウェー出身だったという事をライナーで読んでいたけれど、まさかここでつながるとは思いもしなかった。ちなみにAndrew d'AngeloのユニットはJohn Zornから脈々と受け継がれるNYアヴァンといえるもので、簡単に言えばNaked Cityのハードコアな演奏を連想させる。そのユニットのギタリストが知性を感じさせるAtomicのリーダーのユニットでギターを弾く。しかもそこには元々オーソドックスなスタイルのヴァイオリン奏者もいる。かなりとっ散らかりそうな面子だけど、相乗効果なのか、この作品はかなりの強力盤。自身のリーダー作では聴けなかった過激なフレーズも飛び出すKvernberg、朗々とラインを吹くサックスのKlaus Ellerhusen Holm、北欧系では聴く事の無い音を連発するAngres、それらの上モノをがっちり支えるリズム隊。ヤバイぐらいにカッコいい。Atomicよりもこっちの方がオレは好み。









Ingebrigt Haker Flaten 『Quintet




このユニットの始動は2005年辺りらしいのだけど、現時点でFlatenはシカゴに移住していて、事実上この面子でのユニットは終わってしまった状態らしい。だけどFlatenはシカゴで新しいクインテットを結成し、そこにはあのJeff Parkerが加わっている。Jeff ParkerってのはTortoiseのJeff Parkerの事。「マジかよ」と思った。よく考えてみればFlatenはあのScorch Trioのベースでもあるし、この人は強力なギタリストが好きなのかもしれない。



ちなみに事実関係についての情報は殆どwww.grinningtroll.comが出典です。なんか情報をパクったと言われかねないぐらい北欧系の事はとりあえずここを参照してしまう。すみません。