Lars Danielsson

これもMMがネタ元、というか「じゃずじゃ」がネタ元。マーク・ラパポート氏の2006年のベストを見ていて、参考にしているオレは当然の様に聴いている物が多かったけれど、Lars Danielssonの『Melange Bleu』だけがわからない。Larsの名前は見覚えある。一瞬「LarsってMetalicaの?」とか思ったけれど、多分違う。という事で昨年の「じゃずじゃ」に再度目を通し、10月号に『Melange Bleu』に付いての記述を発見。毎月ちゃんと読んでいるつもりだったのに、見落としもある事に今更気付く。なので『Melange Bleu』は持っていなかったのだけど、Larsが『European Voices』を出していた事が記述されていて、やっとLarsについて思い出す。『European Voices』は10年以上前に「じゃずじゃ」でラパポート氏がとりあげ、オレも手にした作品。これによってECM以外にもヨーロッパにオーソドックスとは違うジャズがある事を知った(インプロ系は除く)。しかもその『European Voices』を改めてチェックすると、Nils Petter MolverとかEivind Aarsetとか、現在のヨーロッパを代表するミュージシャンがフィーチャーされていて、ある意味記念碑的な作品だという事に今更気付いた。

という事で『Melange Bleu』を購入して聴いてみた。アコースティックとエレクトリックの交差したノルウェー・ジャズの、クラブ音楽的な部分を差し引いた音という言い方が当てはまるか。但しリズミックな打ち込み的なところもあるので、そういう意味ではクラブ音楽な要素を完全にマイナスしているわけじゃなく、当たり前に浸透した形で取り入れているというべきかも知れない。「じゃずじゃ」でも指摘されているように、曲想としてはヨーロッパ的なロマンチシズム溢れるものが多く、変化をつけるために入れられたと思われる違うタイプのトラックがなければ、全編で一曲という印象も受ける。リーダーのLarsはベーシストで、他にもいくつかの楽器を使っているけれど、このアルバムは個々の楽器の演奏に注視するより全体で醸し出す音を聴くという種類のものだと思うので、特にこれといった個性を追っていない。ちなみに『European Voices』も参加していたNPMやEivindに加え、Bugge Wesseltoft、PunktのJan Bangなども加わっていて、オールスター色の強いアルバム。オーソドックスなジャズファンには向いていないので、PortisheadとかMiaasive Attack当たりの音が好きな人にお勧め。









Lars Danielsson 『Melange Bleu』




「じゃずじゃ」を読み返して、これまた今更気付いたのだけど、昨年のMM10〜12月号はPunktフェスティバルについてのレポだった。ちゃんと読んでいれば「Punktって何?」とか思わずにすんだのに。と、思った。

文句を言うわけではないけれど、レポが月を跨ぐとこうやって読み落としが出る。こういうものは、まとめて一本の記事としてMMに掲載するべきだったと思う。こういうやり方が、ここ数年はツマラナイ特集しか出来ていないMMという雑誌の批判されるべきところ。ラパポート氏をはじめ良いライターがいるのに(しょうもないライターも多々いるけど)、編集がダメだからホントにこの雑誌もつまらなくなっている。MMとレコード・コレクターズの差別化が、今の編集陣には出来ていない。だから既にMMに愛着は無いけれど、この雑誌がなくなると「じゃずじゃ」が読めなくなるという事だけが心配な状態。