Baden Powell

引き続き、一月の郷子ねーさんのライブの時のネタ。開演前に流れていたBGMを聴いていて、それが「Garota de Ipanema」だという事に気付くのに時間はかからなかった。但し、その曲はあのGets / Gilbertoのものではなく、Jobimのバージョンでもなく、ギターが中心のインストだった。その「Garota De Ipanema」の後にもボサノヴァのギター主体のボサノヴァのインストが続き、それが少し気になって、それを演奏しているのが誰だかわからなかったけれど、なんとなく見当をつけて購入したのがBaden Powellの『A Vontade』。Badenは少しずつ聴いている状態だったけれど、『A Vontade』はなんとなく後回しにしていた。あまり期待はせずに聴いてみたら、これ、傑作だった。

ボサノヴァは、勘違いさせてしまうほど洗練された音を持っている。だからJoaoを聴いても小洒落た音楽と思ってしまう輩が多いのも致し方ないところだけど、『A Vontade』を聴いて、これを小洒落た音楽として聴けてしまうとしたらある意味凄い。ここでBadenが放つギターの音は、オレが思うところのボサノヴァとは違ったテンションで、羊の皮を被った狼状態。ボサノヴァという、一見耳当たりの良い音楽でありながら、Badenはアコースティック・ギターの持てる魅力を最大限に引き出すかのように音を選ぶ。決して難解なラインを弾いているわけではないし、テクニックだけで言えば後年のMPS時代などの方が勝っているのかもしれないけれど、ここにあるダイナミズムやテンションは、この時期にしか持ち得なかった魅力を放っている。









Baden Powel 『A Vontade』