藤井郷子 / 田村夏樹

一月のライブでやっと手に入れた『In Krakow In November』。前年からリリースされていたのに、ポーランドのレーベルからのリリースという事もあってか、なかなか店頭で入手出来なかったけれど、最近は少し出回りだしたらしい。

この二人の組み合わせは今までにも何度もあったので、特に珍しいものではない。しかも、四六時中一緒に過ごす間柄という事も合わせれば、この二人での演奏の目指すところは自ずと見えてくる。カルテットの躍動感やトリッキーさ、オーケストラでの重厚な響き、トリオでの先鋭的な音とは違った側面を、このデュオで聴く事が出来る。

田村は悲しい響きのラッパで朗々とメロディーを奏でたり、カオスに近い状態の咆哮を聴かせ、誤解されやすい言葉を使うと、郷子ねーさんは暗く重い音でバックアップし、対比ではなく、同調するような音を紡ぎ出す。









藤井郷子 / 田村夏樹 『In Krakow In November』




郷子ねーさんのファンの一人として、少しオタクな情報を。カルテットの作品で『Zephyros』というアルバムがあるのだけど、これの日本盤は吉田達也がマスタリングを行っている。だけど、吉田が手をつける前のマスターというものが存在していて、実はそれを『In Krakow In November』をリリースしているNot Twoがリリースしている。この話は『Zephyros』のライナーに書いてあって、それを知ってからオレはNot Two盤が欲しくていくらかのショップを回ったけれど見つけられず。ネット上でも日本のサイトでは発売していなくて、海外のサイトをウロウロ。それでもメジャーなところでは見つけられず、なんとか見つけた小さなサイトで若干びびりながらオーダー。それが無事届けられて手にする事が出来たのだけど、現在は某理髪店でこのNot Two盤が手に入れる事が出来る。一枚しか残っていないようなので、もしこれを欲しい人は早めに手にいれて下さい。