Calexico / Iron and Wine

エスト・ホールでの鈴木正人のライブ終了は19:15だった。そこからオレは、とにかく急いで渋谷クアトロに向かう。多分オレの歩くスピードなら15分ぐらいでいけるはず。という事は19:30ぐらいには着くはずで、それなら多少開始時間が遅れることを考えれば、そんなにロスのない状態でライブを見ることが出来る。という事でライブのハシゴをすることになったのは、その日のクアトロがCalexicoとIron and Wineの連名ライブだったからで、2006年のベストCDに選んだバンドのライブを見に行かないというのはやはりマズイと思っての行動。ただし、このハシゴを決めたのは鈴木正人のライブの開始が17:00だとわかってからの事。鈴木正人のライブが17:00開演と知ったのが16:00なので、そこからクエスト・ホールに向かうまでの間に「行けるかも知れない」と考えた。実は元々1/27はCalexicoのライブを見るつもりでいたのだけど、チケットはギリギリに買えばいいと思ってなかなか購入せずにいたところ、鈴木正人のライブがあることを知り、何も考えずにそのチケットを購入。その後スケジュールを見て失敗したと思った。しかもそのときに冷静になれば、22日にもCalexicoのライブを東京(リキッド・ルーム)で見る事が出来る事に気づけたはずなのに、結局それには気づけない状態だった。ところが27日に開始時間のずれがあることがわかり、久々にハシゴする事を決断。走ってクアトロに向かいたい気持ちを抑えつつ、とにかく急いで歩き続けた。

計算どおりに19:30にクアトロ到着。多分最初はIron and Wineが前座のようなライブをやっていると予想し、当日料金の¥7,500(高い・・・)を支払って中へ。七割ぐらいの入りと予想していたのは大甘だった。チケットを手渡されたときの番号を見れば入る前に気づいたはずなのに、そういう細かいチェックを忘れて中に入ったら超満員。オレのチケットの番号は800を超えていて、クアトロでこの数は相当厳しい。それでもめげずに、とりあえずチケットをビールに変え、今度は一口で飲み干し場所の確保を考える。ちなみにステージは予想通り、Iron and Wineが演奏を行っていた。ウロウロ歩いてなんとなく外国人率が高い事に気づく。なのでステージのほうを見ても、いつもよりも視覚が確保されず厳しい状態。まあ、この二人の演奏が終われば一旦間が空くので、それまで適当にウロウロを決め込み、ステージが見えなくてもいいという気持ちで後ろに張り付いていた。



そういう状態で聴いたIron and Wineは、結局1.5曲ほど聴けた。ステージを見る限りでは、男女のデュオで、ヒッピーな感じの男がギターを持っていて、女性の方は歌うだけという感じだった(この女性も60〜70年代風)。なんとなく「いったい今はいつだ?」という感じだったけれど、音楽自体はリラックスした感じで悪くない。でも、こんな混みこみのハコで聴くような音楽じゃないような気がした。

Iron and Wineの演奏が終わり、予想通り皆ウロウロし始める。オレはとりあえず外で一服して早めに中に戻り、適当な場所を確保。それでなんとか一息ついた。

間もなくCalexicoが登場。演奏が始まる。昨年の『Garden Ruin』は個人的なベストの一つだった訳だけど、だからといってずっと聴いていたわけもなく、最後に聴いて半年は経っていると思われる状態なので、なんとなく聴き覚えがありながらも、はっきりそれとわかるような状態で曲を認識できない。だけどまあ、別にそんな事はどうでもよくて、あの独特の、ミクスチャーでありながら無国籍感漂う楽曲に気分は反応する。時折普通にロックな曲をやると個性はあまり感じないけど、いかにも中南米なフレーズを管楽器が吹き鳴らす時は、ロックという言葉は当てはめにくい。ただ、なんかあれ、メキシコ風というよりも、キューバな感じに思ったのはオレだけだろうか? まあいいか。

終盤、Iron and Wineが加わって何曲か演奏。若干ボーカルの個性が弱めなCalexicoに、Iron and Wineの二人が加わる事によって歌の部分はかなり補強されていた。ただし、ステージ上はなんとなくウッドストック風味。




偶然にも鈴木正人のライブで聴いたスチール・ギターを、Calexicoのライブでも聴けた。Calexicoのスチール・ギターはロックな音もあったけれど(全体的にはブルージー)、高田蓮の音に比べればマトモな演奏だといえる。そしてバンドとしてのCalexicoは、もっと緩く演奏するバンドだと思っていたけれど予想以上にタイトというかキッチリとした音で、少し意外。



余計な話ばかりでマトモに感想を書けてないけれど、体は自然に動くし、ストレートに楽曲が響いてくる様はなかなか良かった。クアトロを満員に出来るぐらいの人気があるのは意外だったけれど、こういうビッグ・ヒットを狙う事を念頭においていないバンドというのは、そういうものに比べて開放感があって、それが惹かれる部分なのかもしれない。