Meshell Ndegeocello

一応前作にあたる『Spirit Music Jamia: Dance of the Infidels』で、ポップスというフィールドだけで収まらない存在に変わったMeshell Ndegeocello。昨年出た『The Article 3 EP』は5曲入りのEP。このEPのジャケットと4 Heroの『Play with the Changes』のジャケットが似ているため、『Play with the Changes』を見たときはNdegeocelloのアルバムが出たと思った。

『The Article 3 EP』には『Dance of the Infidels』に続いて参加のBrandon Ross、元M-Base派のGraham Haynes、現代ジャズ界の大物Pat Methenyという、食指が動く面子が揃っている。Brandonによる音のレイヤーにHamza Yusufの語りが乗るイントロダクションな「Handitha」。続く2曲目の「The Sloganeer」は疾走感溢れるファンク。Ndegeocelloのリズムを刻むベースがカッコいい。特に最近はフレーズするベースとか、空間を支配しきっていしまうベースに慣れてしまったせいで、この曲でのNdegeocelloのベースは新鮮に聴こえる。Patの担当する美しいアコースティック・ギターの響きに、Oumou SangaraというボーカルとNdegeocelloのデュエットが乗る3曲目の「Shirk」は、北欧のアコーステッィクな楽曲という趣。いきなり強いリズムで始まる4曲目の「Article 3」。これもThandiswa MazwaiというボーカルとNdegeocelloのデュエット。一本調子で押し切っても問題無い楽曲に変化を入れる辺り、Ndegeocelloの余裕が伺える。終曲「Elliptical」にもSy Smithというボーカルが加わっている。この曲はNdegeocelloの太いベースが印象的。終盤に一太刀入れるHaynesのコルネットの響きで、この短い近況報告は幕を閉じる。









Meshell Ndegeocello 『The Article 3 EP』




『Dance of the Infidels』を一応前作という言い方をしたのは、このアルバムはNdegeocelloのアルバムというよりSpirit Music Jamiaというプロジェクトのアルバムと言った方が正しいと思えるからで、だから個人的には2003年の『Comfort Woman』が前作だと思っている。

Ndegeocelloは一度だけライブを見ていて、それは『Dance of the Infidels』が発売される前、青山のブルーノートでのライブで、残念ながらLettusというジャム・バンドとのカップリングだった為、二部構成の第一部だけの演奏だった。ライブはあのOliver Lakeをフィーチャーしたグループでの演奏だったのだけど、そのLakeよりも、ひたすら黒く重くグルーヴし続けるNdegeocelloのベースに引かれた。今度はブルーノートなんていうスノッピーな場所じゃなくて、スタンディングで聴く事の出来るハコでのライブが見たい。