4 Hero

4 Hero、何年かぶりの新作『Play with the Changes』。何年かぶりという適当な言い方しているのは前作をシカトしたからで、前々作にあたる『Two Pages』を聴いてオレは4 Heroというか、ドラムン・ベースというか、クラブ音楽というものから興味が薄れた。そんなだったので前作をシカトしたのだけど、『Play with the Changes』はジャケットに反応して(その理由は後日)、手に取ったら4 Heroの新作である事がわかり、久々に聴いてみる気分になった。オレの興味は薄れたと言っても、未だにドラムン・ベースは進化を続けているというネット上の情報を目にした事もあったので、「じゃあ、どうなったのさ?」という期待と不安入り混じった状態で『Play with the Changes』を聴いた。

『Play with the Changes』は雑多な感じはあるけれど、特に耳に付いたのは、Curtis Mayfield等のニュー・ソウルな楽曲に、多少太いベースラインを付け加えたといえる楽曲。そのベースにドラムン・ベースの影を見る事は出来るけれど、もうこれはクラブ音楽という範疇のものではない。中にはドラムン・ベースな曲や、Chick Corea辺りがやりそうなアグレッシヴなフュージョンといえる演奏もあるし、ニュー・ソウルだけじゃなくて、グラウンド・ビート〜今用のR&Bな楽曲もある。

じゃあ『Play with the Changes』が期待ハズレかといえばそういう事でもなく、まあまあ結構良かったりする。ただしこれ、4 Heroの名前を使わなくても良かったと思う。だけどこれが別の名義なら聴かなかったかもしれないから、そういう意味では、オレのようなオールド・ファンに訴えかけた4 Hero名義を使うという事は正解なのかも。









4 Hero 『Play with the Changes』




ドラムン・ベースの全盛期、オレはホントにドラムン・ベースが好きだった。最初にミュージシャンとして気に入ったのはA Guy Called Geraldで、4 Heroはその後『Parallel Universe』を聴いてそのカッコよさにはまった。恐らくこの両者のどちらかがこのシーンの命運を握っていると思っていたところに、Roni Size / Reprazentの『New Forms』で完全にノック・アウト。このアルバムはホントにアホの様に聴いた。そして『New Forms』を聴きながら、AGCGと4 Heroに対して不安と期待が入り混じる状態になる。『New Forms』はドラムン・ベースの完成形と言えるものだったので、AGCGも4 Heroも、さらにその上をいく作品を提示してくれなければ、このシーンはそこで終わるような気がした。そして出てきた4 Heroの『Two Pages』を聴いた時、これがオレの期待に届くものじゃなく、それでドラムン・ベースとかクラブ音楽というものから興味が薄れる事になった。

クラブ音楽といわれるものはその後も多様な様相を呈しているけれど、2ステップとかちょっと苦しいと思ったし、Richard D Jamesも、『Drukqs』で彼の持てる天才性の全て注ぎ込んでしまったという感じがして、少し寂しい状態。だけど、クラブ音楽に興味が薄れてからは数少ないオレの興味の対象に加わったMoodymannの音は、クラブ音楽の範疇にとどまりながらそれ以上の高揚感をもたらしてくれる。



ドラムン・ベースの事で一つ付け加えると、Goldieの『Saturnzreturn』はそのDisc2が結構とんでもないものを提示していて、これは『New Forms』に引けをとらないドラムン・ベースの作品だと言える。