DJ Krush

昨年見つけたとき、かなり悩ましい物にしか思えなかった『Oumupo 6』。これはフランスのIci D'Ailleursという、オレは全然知らないレーベル(調べてみたらYann Tiersenぐらいしか知らない)の音源を素材に、42分間のDJミックスをするというシリーズのKrushの担当盤。しつこいけれど、『Stepping Stones: The Self Remixed Best』がイマイチだったオレには、そういう状態でKrushのミックスCDなんて興味が沸く事も難しく、Ici D'Ailleurs というレーベルもよく知らないし、「いらない」と切り捨てた。けれど結局Spookyと一緒に購入し、今年はCDの購入のペースを落とすと言った年頭の誓いはどこへ・・・。



『Oumupo 6』は傑作だと思う。個人的には、『迷走』、『覚醒』と並ぶ作品。購入前はただのメガミックスなものだと思っていたけれど、これは上モノの素材をIci D'Ailleursレーベルに限定しただけで、内容的にはKrushの新作といっても問題無い。ここで刻んでいるリズムは間違いなくKrushのリズム。ある程度の縛りの中で作らざるを得ないという状況が、Krushの本質を抽出する事になったと思う。昨今のオレの苦手なデジタルな処理はあるけれど、『Stepping Stones』でウザかった必要以上のベース音が省かれていて、余計な音を感じる事は無い。

『Oumupo 6』は時代の先端とかそういうところと関係なく、Krushの優れた感性が作り上げたリズムと、定型では無い上モノを使う個性が際立った作品。とにかくこのリズム、聴いていると嬉しくなる。









DJ Krush 『Oumupo 6』

もし『Stepping Stones』が昨年出ていなければ、『Oumupo 6』は見つけた時点で購入して昨年のベストの内の一枚として選べた。だけど(だから)、もしかしたら『Stepping Stones』も再度聴けば最初と違った印象になるかもしれないと思い、チャレンジしてみたけれどやっぱりダメ。それなのに「DJ Krushの音の世界へ案内します」と言うセリフが、『Oumupo 6』と『Stepping Stones』のインスト編に使われているのは何となく皮肉。



『Oumupo 6』を聴いていて、「あ・・・」と思った事がある。それは外山明の事で、外山のリズムはKrushのリズムに似ている。オレはそう思った。ホントにそうなのかどうか、機会があればお確かめ下さい。



ちなみにこの『Oumupo』というシリーズ、DJ HideとかRob Swiftの盤もあってちょっと興味深い。困った・・・。