DJ Spooky

Clashを聴く前に聴いていたレゲエというのは『In Fine Style』の事で、これは、DJ Spookyがトロージャン(Trojan)の音源をコンパイルしたもの。Spookyは何気によく聴いていて、この人の作品は勿論、DJミックスなものも結構面白い。『In Fine Style』はタワレコに並んでいるのを見つけて、ちょっと考えた末に購入したもの。だけどこれも厄介。というのも、『In Fine Style』はアメリカ市場向けのコンパイルで、もう一つ『Riddim Come Forward』というイギリス市場向けのものもある。比べてみると、ジャケットは『In Fine Style』がフリップ・ケース入りになっているけれど、Spookyと思わしきDJの絵は同じ(背景が違う)。どちらも2枚組みだけど曲数が違う。収録曲を比べようかと思ったけれど、『Riddim Come Forward』は45曲入りと27曲入りで、『In Fine Style』は18曲と16曲入りなので、あきらかに別物という事を判断。結果、両方購入。で、一通り聴いてわかったのだけど、『In Fine Style』は単純にトロージャンの音源をコンパイルしたもので、『Riddim Come Forward』はDisc1がDJミックスでDisc2は通常の音源のコンパイル。という事で、冷静に見極めていたならば『Riddim Come Forward』だけでよかったかもしれないけれど、まあ、どっちもそれなりに面白いので文句は無い。

Riddim Come Forward』のDJミックスは、スクラッチをはさんだりするという多少強引なつなぎもあるけれど、総じてすんなり聴きとおせる。レゲエとは言ったけれど、実際にはレゲエじゃ無いトラックも多いし、カバーとかもあって、結構バリエーションにとんでいる印象もある。Madlibの『Blunted in the Bomb Shelter』を気に入った人なら、これも十分いけると思う。もちろん、レゲエをあまり聴いてない人が聴くのにも向いていると思う。セレクトされている面子も有名どころが多いし。









DJ Spooky 『In Fine Style』









DJ Spooky 『Riddim Come Forward』




寒い時期にレゲエ?、と思うかもしれないけれど、意外にもレゲエは寒い季節に合う。ラテンなものはこの時期にわざわざ聴かなくてもいいと思うのだけど、レゲエはテンポがあまり速くないものが多いという事と、ダブは響きという点からしてもこの時期の方が似合うような気がする。



Spookyの補足をすると、昔は(今もかも知れない)イルビエント(イルなアンビエント?)とかいうわけのわからないジャンルにされていた人で、オレはArto Lindsayの『Mundo Civilizado』のリミックスの『Hyper Civilizado』で名前を知った。その後『Songs of a Dead Dreamer』というアルバムが出て結構気に入り、新しいものが出るたびに大体手にしていた。鬱陶しい事に、DJ Spooky That Subliminal Kidという長ったらしい名前になったり、Paul D. Millerという別名義を使う事もある。それはいいとして、Spookyがどういうスタイルかといえば、一応ベースはヒップホップらしいので、音響派のヒップホップDJとでも言えばいいと思う(テクノのRichard D JamesとかダブのAdrian SherwoodかMad Professerなんかに近いような気がする)。最近はThirsty Earからもアルバムを出していて、『Optometry』は面白かったし、そのリミックスの『Dubtometry』も良かった。さらにThirsty Ear(The Blue Series)のコンピ(『Celestial Mechanix』)のDJミックスもやっている。それ以外に『Under the Influence』というDJミックスもあって、これが個人的には一番面白かったけれど、かなりあの時期(2001年)な音が入っていたので、今聴くと古臭く感じる予感。恐らくもう聴く事は無い。