Ghostface Killah

Wu-Tang Clanはカッコよかった。そのWTC(略すと誤解されそうだな)について今更ゴチャゴチャ書くような事はしないけれど、あのデビュー作『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)』は、カウンターを喰らったような感じだった。ただし、グループとしては『Wu-Tang Forever』(オレはこっちの方が好き)までが存在価値だったと思う。3rdの『The W』は、1度聴いて二度と聴いていない。あれだけの面子が揃っているのだから、結局はそれぞれの活動がメインに移った状況で、個人的に一番同行が気になるのはやはりRZA。RZAの作るトラックがオレは好きで、個人的には映画『Ghost Dog』の2枚のサントラ(『Ghost Dog: The Way of the Samurai by The RZA』と『Ghost Dog: The Way of the Samurai / The Album』)は、オレにとってのマスター・ピース。それ以外のメンバーなら、その奇行の数々でキチガイとしか思えないOl' Dirty Bastardが目立つ存在だったけれど、こういう事を言っては何だけど、やはり長い人生を送る事は出来ない事になった。そして1stソロが出る時に最も期待されたMethod Manは、どうもソロ名義の作品ではパッとした感じが無く、個人的には誰かのトラックにフィーチャリングされていたりする時の方が面白い。

そういったWTCの派手な面を担当している連中に比べると、Ghostface Killahは一見地味な存在。だけど、WTCでは恐らくこの人が最も安定した出来のアルバムを発表し続けている。一時Killahを名前から外していたけれど、結局元に戻して昨年の4月に発表した新作『Fishscale』。といっても、実は昨年末にすでに『More Fish』という新しいアルバムが出ているので新作とはいいにくい。だけど、これもNasとSnoopと一緒に買ってきたオレにとっては新作。これもホントは聴かないつもりだったのだけど、久しぶりにヒップホップに浸かる事になってしまった。



インタールード的なトラックを多く含んだ如何にもヒップホップなアルバムなので、イチイチどの曲がどうとかいう事は似合わないと思う。それでも、WTCがフィーチャーという形になっていたり、J DillaPete Rock(個人的にはこの人のトラックは大体好き)が作ったトラックがあったりという目を引くところは多いけれど、そういう事を気にせずに一気に聴き通すことが出来る。それはWTCで最もソウルフルな男であるGFKの趣向がこのアルバムにも活かされていて、トラック、フロウ共に、その感触が滲み出たものが多いと言えるから。今まではGFKといえば『Supreme Clientele』という印象が強かったけれど、このアルバムはそれに並ぶものだと思う。









Ghostface Killah 『Fishscale』




という事でヒップホップ5連発でした。DJ Shadow、Telmaryという変化球気味なものが続いたので、もう終わりだと思ったかもしれないけれど、GFKを最後に回してみた。一緒に買った3枚のうちで、今最も気に入っているのはこのアルバムかも。