My Favorite CD (2006 Best10+10)
誰にも依頼されてなくても、勝手に考えて勝手に公表。12月に中旬ぐらいから結構考え込んでいた。全てまとめてベスト10ということは難しいので、インストと歌ものに分割。追記で色々補足。
こういうのを考える楽しさと、結局バランスをとってしまうという性格への嫌気はある。好きな作品を列挙していけば、インストと歌ものに分割しても軽く20枚ずつぐらいは候補が挙がる。それを絞り込むのは苦痛なので基準を設けた。それは、ライブを見たものは基本的に外すということ。だからAltered States、Jim O'Rourke、藤井郷子、大友良英、巻上公一、Rovo、Faiz Ali Faiz、The Red Krayola、MZN3、今堀恒雄 / 吉田達也、カヒミ・カリイ(ONJO)を最初に外している。だけどもしそういう事を考えなければ、
The Red Krayola 『Introduction』
Faiz Ali Faiz 『L'amour de Toi Me Fait Danser』
Altered States 『Bluffs』
今堀恒雄 / 吉田達也 『Territory』
巻上公一 『月下のエーテル』
ヒカシュー 『転々』
Mono Fontana / Fernando Kabusacki / Alejandro Franov / Santiago Vazquez / Yamamoto Seiichi / Katsui Yuji 『Buenos Aires Session #vol.2 IZUMI』
Rovo 『Condor』
カヒミ・カリイ 『Nunki』
などが候補として加わっていた。
以下、ベストに選んだものの簡単なコメント。
インスト編
Andrew Hill 『Time Lines』
MMのベストのジャズ部門で1位になっているのを見て外そうかと思った。だけど、それだと逆に影響が強くなってしまうので素直に選出。(良い言葉ではないけれど)狂気と知性の間の官能的な音。
Bill Frisell / Ron Carter / Paul Motian 『Bill Frisell / Ron Carter / Paul Motian』
何となく聴けば軽く聴き流す事もできる。だけど三者のインタープレイに注意すると、違う音楽が聴こえてくる。
Brandon Ross 『Puppet』
これだけ完成された音世界は他には余り無い。空気までも染め上げている。方向性は違うけれど、これを選んだ時点でCassandra Wilsonの『Thunderbird』を歌もので外した。
Derek Bailey 『To Play』
ノーコメント。と言ってもいいのだけど。オレにとっては最重要な人。恐らく、BaileyのCDでは最も優しい音。
Glenn Kotche 『Mobile』
Steve Reichの影響が大きいのはすぐにわかるけど、Terry Riley的なプリミティブも感じるし、テクノのミニマルも内包している。要するに、ミニマルといわれているものの総括的な色合いが強い。
J Dilla 『The Shining (Instrumental)』
このアルバム自体はインプレを書いていない。実はラップ入りの『The Shining』でもよかった。だけど、今回は歌もののほうの選出がかなり悩んだので、Dillaをインストにまわす方がやりやすいという事で、これか『Donuts』か悩んだ末の結果。正直言って3枚のうちのどれでもいい。
Loren Connors 『Sail』
最も柔らかいエレクトリック・ギターの音。
Punkt 『Crime Scenes』
今年何気に嵌った感のあるノルウェー・ジャズから一枚、と思って選んだ。本来ならAtomicの『Happy New Ears!』かThe Coreの『Blue Sky』、Zanussi Fiveの『Alborado』辺りを選ぶのが筋かもしれないけれど、Atomicのアルバムは藤井郷子の作品に似ているという考えが変わらず、CoreとZanussi Fiveは、完成度でやや見劣りする。という、わかったような言い訳を書いておく。
Santiago Vazquez 『Mbira y Pampa』
アルゼンチン音響派からはこれを選んだ。そういう意味で『Buenos Aires Session #vol.2 IZUMI』とこれとどちらかを考えたのだけど、最初に書いたように今年ライブを見た人が入っているものを外す事にしたので、Vazquezを選んだ(音楽的には全然違うけれど・・・)。今年、芳垣安洋関係のライブのBGMでやたら親指ピアノを聴いたので、その影響も強い。
Tom Ze 『Danc-Eh-Sa』
この人もある意味音響派だと思う。感覚だけで作ったものに聴こえるけれど、繰返し聴いていると相当な知性が含まれている事に気付く。
歌もの編
Calexico 『Garden Ruin』
Calexicoがここまで歌ものにシフトするとは思わなかったけれど、このアルバムの楽曲の魅力は、歌ものを選択したからこそと言える部分が大きい。Iron and Wineと組んだ『In the Reins』、Loose Furの『Born Again in the USA』、TortoiseとBonnie "Prince" Billyの『The Brave & The Bold』、Bonnie "Prince" Billy単独の『The Letting Go』と並べて最終的に選んだ。気分次第で入れ替わる。
Chocolate Genius Inc 『Black Yankee Rock』
R&Bとロック、少しのフォーキー。漆黒の音、では無いにもかかわらず、昼間に聴いても夜にしてしまいそうな音が魅力。
Dirty Dozen Brass Band 『What's Going On』
アフロ・アメリカン音楽が好きならばこれは聴かないと。と、個人的には思う。R&Bもヒップホップもジャズも、そして当然ニューオリンズも全て含んだ音。でも実は、Elvis Costello / Allen Toussaintの『The River in Reverse』とどちらにするか悩んだ。
The Evens 『Get Evens』
疾走感。
Los Lobos 『The Town and the City』
文句なし。ロックという音楽で表現しえる最上の歌。でも実はBruce Cockburnの『Life Short Call Now』とどちらかという選択をした。という事で、残念ながらCockburnを選出できず。
浜田真理子 『夜も昼も』
やっと出てきた日本人。某都知事が「余人をもって代えがたい」という言葉を使っていたけれど、それは真理子ねーさんにこそ当てはまる。日本語で歌うことの意味、日本のポピュラー音楽の歴史をひっくるめて、このアルバムは重要だと思う。でも実はカヒミの『Nunki』との競合。まあ、カヒミはONJOでライブを見てしまったという理由で真理子ねーさんにしたけれど、もしカヒミをライブで見ていなかった場合でも、真理子ねーさんは選んでいた。
Pearl Jam 『Pearl Jam』
Mudhoneyの『Under a Billion Suns』とFlaming Lipsの『At War with the Mystics』、この3枚でどれを選ぶか考えて、本来の好みのMudhoney、今後耳にする率が高そうなFLだけど、恐らく今年全てのCDで最も耳にしたアルバムは『Pearl Jam』だと思うので、これを外すと年間で選ぶ意味がなくなると考えた結果。
Rachid Taha 『Diwan 2』
聴けば聴くほど、というパターン。Steve Hillageの音もかなり効いている。前作『Tekitoi?』よりロック色を薄めた結果、より一層、力強いものになった。
大江慎也 『The Gratest Music』
実はギリギリまで対象外。とりあえず気に入ったアルバムを列挙していった時、そこにすら入ってなかった。だけど実はオレのケータイの目覚まし時計代わりのアラームが「Go for the Party」で、毎朝この曲のサビを聴いているわりにアルバムを聴いていない事に気付き、あらためて聴きなおしてやはりこれを入れないといけないと思い直す。今年の初めにThe Roostersを聴きなおしていたことも含めて、個人的には今年の象徴的な一枚。
Susanna and Magical Orchestra 『Melody Mountain』
インストでIn the Countryを選ぶかこれかと思ったとき、余り悩みもせずこっちを選んだ。微音弱音系もこれを選ぶ事でなんとなく選ばなくてもいい気がした。けど、もしカヒミをONJOのライブで見ていなければ、選ばなかったかもしれない。
他にも色々いい作品はあったし、それを思うともっと書きたい事はあるのだけど、そんな事やってたらいつまでも終わらないので、この辺りで止めとく。
ホントは1月からは、2007年の新譜の投稿をしたいけれど、そういうものは中旬辺りまでなかなか出てこないので、当面は今年買った物でインプレを書いていないものを投稿予定。それでは。