Tom Ze

Gilberto Gilの時に書いたと思うけど、ボサノヴァをJoao Gilbertoでまかなって、MPBはCaetano Velosoを注視することで余り深追いしないようにしている。だけど、Gilberto Gilを買ってしまったので、「やっぱこれも・・・」と、Tom Zeの新作『Danc-Eh-Sa』を手にとってしまった。

それまでTom Zeは、Luaka Bop(一応補足すると、David Byrneの興したレーベル)『Com Defeito de Fabricacao (Fabrication Defect)』ぐらいしか持っていなかった。それを聴いて、なんとなくダブのLee Perry的なポジションだと思った。結構好きなタイプになるのだけど、世の中にはまだまだ聴いた事の無いスタイルのものがたくさんあるので、特に若い世代でもないTom Zeは後回しにしようと思っていた。ところが『Danc-Eh-Sa』に嵌る。実際にはヘヴィーなテーマを持ったアルバムだけど、何も知らずにこれを聴けばそういう事を思うような音ではない。明るくユーモラスな感触。スタイルとしてはエスニックな音を上手くクラブ音楽にした初期のChari Chariを想像してもらうと早いと思うのだけど、それが頭を使った結果の音とするなら、Tom Zeの音は体にしみこんだ音。Chari Chariよりワイルドで肉感的。一応プログラミングされた音なのだけど、プリミティブな感じで、意味不明な言葉での歌とか、そういうものの感覚は目玉のオヤジ、、、じゃなくて、The Residentsを思い起こさせる。なので、Chari Chari+The Residents を頭に思い浮かべる事が出来る人は、『Danc-Eh-Sa』の音が想像できるかもしれない。









Tom Ze 『Danc-Eh-Sa』




ちなみに『Danc-Eh-Sa』はわずか33分足らずのアルバムで、少し食いたりないように思うかもしれないけれど、2回続けて聴けば問題解決。