Rachid Taha

前作『Tekitoi?』でThe Clashの「Rock the Casbah」をカバーして、皆の心を鷲掴みにしたRachid Taha。その『Tekitoi?』は、アルジェリア系フランス人というTahaの個性が生きたロックな音だったけれど、そのせいでちょっと飽きやすいという側面も持っていた。が、新作『Diwan 2』は、アルジェリア音楽のカバー集で、ロック色は薄め。今度はそのせいで若干地味になったけど、ともすれば聴き流してしまいそうなほど流麗なアラビアンの音も、Tahaの少しかすれた高い声(それでも芯は強い)が絡むと、俄然勢いが出てくる。









Rachid Taha 『Diwan 2』




歌とか曲だけじゃなく、普段余り耳にすることの無い楽器のナーイ(Ney)という尺八のような楽器や、5曲目の「Josephine」と7曲目の「Ah Mon Amour」で出てくるGasbar Oranais(調べ切れませんでした・・・)というこれまた尺八の音を連想させる楽器によるソロはかなりカッコよく、このあたりの音楽も、単に決め事だけじゃ無い演奏を取り入れていたことがわかる。そして3曲目の「Agatha」という曲が妙にアフリカっぽく、Yossouが歌いだしてもおかしくないと思っていたら、やはりこの曲はカメルーンの曲という事で、納得。少しだけ自分の耳に安心した。

この『Diwan 2』以前からTahaの作品にはあのSteve Hillageが噛んでいて、当然今回もアコギやプログラミングで全編にわたって参加。実はGasbar Oranaisが入っている5曲目と7曲目はそのHillageとTahaによる新曲で、色んなものが融合したこの2曲は、このアルバムの中でも特に印象が強い。