Brandon Ross

Inxitocateから『Costume』に続くBrandon Rossの2nd『Puppet』が出た。これを聴いて誰がどう思うのかわからないけれど、オレにはこれ、AORとして聴く事が出来る。但し、ジャズとかアヴァンといった音を聴いた上でのAOR。音的にはCassandra Wilsonの『Blue Light 'til Dawn』とか『New Moon Daughter』なんかに通じるものはあるけれど、CassandraのブルージーさをBrandonは独特の浮遊感で薄め、誰にも真似の出来ないものを作り上げている。









Brandon Ross 『Puppet』




『Puppet』は、Brandonにツトム・タケイシのベースとJT Lewisのドラムが基本布陣なのだけど、Melvin Gibbsがベースで参加している曲もあって、そのクレジットがないので確かな事はいえないけれど、恐らくそれは8曲目の「Cycle」。ここではBrandonはエレキを弾き、タケイシはオミットしていると思われるので、Harriet Tubman(ユニット名です 念の為)な編成かと思いきや、Ron Milesのラッパが加わっている。

アヴァン系のファンには、Harriet Tubman的な過激な演奏をBrandonのアルバムに望む向きもあるだろうけれど、Brandonが自己名義でやりたい音は『Costume』とか『Puppet』という事なのだと思う。過激な演奏は、Harriet Tubmanを期待しろという事なのだろう。



押しの弱いアクと言うか、なんていうか、ちょっと当てはまる言葉が難しいのだけど、一瞬、無個性にも感じられそうなBrandonの音は、そう感じさせる部分すらも個性で、その中性的な歌声も含めて、唯一無二の個性だと思う。



しかしこのアルバムが日本だけでしか発売されていないとは・・・。こういう時は、日本国籍で良かったと思える。