Jaco Pastorius

なんども発売延期を繰り返し、やっと出た『The Early Years Recordings 1969-1975』。元々、未発表録音とか私家録音を収録した『Portrait of Jaco』という、Jaco Pastoriusのキャリア最初期のアンソロジーがあったのだけれど、その『POJ』にはインタビュー等が含まれ、さらにそのインタビューが曲と重なっていたり、曲が完奏されないままフェードアウトしたものなんかが多く、音楽を聴くという面においてかなり鬱陶しい構成になっていた。それを再構成し、さらに『POJ』には含まれていない録音を加えて出しなおしたものが『The Early Years Recordings 1969-1975』という事になる。

特にJacoファンではないオレは『POJ』を買うつもりは無く、しかもオレが『POJ』というものを知った頃には既に『The Early Years Recordings 1969-1975』(タイトルは仮称だったかも)が出る事になっていて、だからこれを買えばいいと思ったのだけど、その後はあまり情報も無く、そうこうしているうちに『POJ』の中古盤をレコファンで見つけ、結局購入。だけど『POJ』の鬱陶しい構成についていけず、マトモに聴いていない。だからやはり『The Early Years Recordings 1969-1975』が出る事を待っていた。



75年までの録音ということなので、Jacoの1st、『Jaco Pastorius』が出る頃までの録音が収録されている事になる。オレは最初期のJacoは結構好きで、某掲示板で「Jacoは変態R&Bベーシスト」と誰かが書いてたのを見て、オレも納得した。R&Bとかファンクとか、当然後年のJacoの音にも出てくるけれど、最初期の音はバタ臭くて、ブラスの鳴りもフュージョンじゃなくて、その裏でJacoがウネウネと弾きまくっていたりするところがいい。ソロを取って前に出ているのも悪くないけれど、裏でウネウネ弾いてる方がいい。

Weather Report加入前にZawinulに渡したテープに入っていたと言う「Continuum」とか、4ビートしている「The Balloon Song」とか、興味深いものもいろいろあって、Jacoファンはスゲー楽しめると思う。オレはまあ、まあまあ、です。









Jaco Pastorius 『The Early Years Recordings 1969-1975』




『The Early Years Recordings 1969-1975』はレアトラック集なのでファン以外が手を出すような代物ではない。初めて聴くなら、普通は『Jaco Pastorius』をプッシュするのだろうけど、オレはコンピの『Punk Jazzル』がお勧め。こっちにも最初期の録音が入っているし、WRの「Birdland」とか、Joni Mitchellのアルバムからも選曲されていてバラエティにとんでいる。だけどこれ、『Word of Mouth』がほぼ入っているのだけれど、1曲だけオミットした「Crisis」が『Word of Mouth』では一番カッコいい曲なので、わずか1曲の為に『Word of Mouth』も必要になるという、セコイ商売をしてくれています。まあ、いいけど。



それと、『The Early Years Recordings 1969-1975』の発売が遅れたのはカトリーナの影響という話なんだけど、実際どうなのだろう? もしホントにそうだとしたら、やっぱカトリーナは相当罪深いという事を再確認。