Gilberto Gil

ブラジルにはボサノヴァという音楽のジャンルがあるらしく、それについての定義みたいなものもあるらしい。その事というか、ボサノヴァ絡みの話で数年前に某掲示板で徒党を組んだヤツラに絡まれた事がある。詳細までは覚えていないのだけど、オレはStan GetzとJoao Gilbertoの『Getz / Gilberto』というアルバムがイマイチで、あれはツマラナイというような事を、そのスレでよく話をしていたヤツに向けて書いた。そしたらその事について、別のスレでオレの書き込みに文句をつけたやつがいて、たまたま両方のスレを見ていたやつが、オレが書き込みをしていたスレにその事を書き込んできて、それでオレがちょっと頭に来て文句みたいなものを書いたら、そこから絡まれるようになった(しかもその連中は、元々オレが書き込みをしていたスレで、オレがよく話をしていた相手のお仲間さん連中だった)。たかがネット上の事なのにムキになっているそいつの書き込みを見ながらだんだん馬鹿らしくなって、相手にしない事にした。その時に別の仲間まで現れて、オレに「ボサノヴァという音楽のリズムはこうだ、お前はわからんのか? リズム音痴のボケが」みたいな罵りを書いていたけれど、ボサノヴァの定義について書くのならいくらでもネット上に講釈が転がっているので、そういう事をけしかけても仕方がないんじゃ?と思いながら、そういう集団心理が誰か(当然その時はオレ)を潰しにかかるのを見届ける事にしたのでした。

という事で、ボサノヴァという音楽がどういうものか、活字になっているものはいくらでもあるし、ネットでサクッと調べられるけど、オレが独断と偏見で思っているボサノヴァというのは、=Joao Gilbertoという事。誰からも賛同は得られないパターンだけど、オレはそう思うことで勝手に納得している。というか、Joaoを聴いておけば、ボサノヴァをわかったつもりになれる、と思う事で、少しでも聴くものを減らそうという狙いが含まれている。

なぜいきなりそんな話を書いているかと言えば、Gilberto Gilの『Gil Luminoso Voz & Violao』を聴いて、オレはこれをボサノヴァとして聴いているという事を書きたかったから。正直な話、Gilの単独名義のアルバムを持っていない。もしかすると持っているかもしれないけれど、記憶に無いので持っていないのと同じ。但し、『Tropicalia』とかその続編のCaetano Velosoとの連名作『Tropicalia2』は聴いていて、特に後者は結構好きなアルバム。でもGilに関してはとりあえずいつか聴くかも知れないぐらいのポジションに決めていたのだけれど、『Gil Luminoso Voz & Violao』はそのタイトルやプロデュースがCaetanoという事で、どうしたってJoaoの『Joao Voz E Violao』が頭に浮かぶ。そしたら買うだろ? オレは買った。で、買って聴いて、Joaoとの親近性を感じて、そういうものがオレにとってはボサノヴァなので、『Gil Luminoso Voz & Violao』はボサノヴァとして聴いている。これがいいアルバムかどうか、断言できるだけの根拠は無いのでそういう事は書かないけれど、今はこれを聴く事が多い。









Gilberto Gil 『Gil Luminoso Voz & Violao』




『Getz / Gilberto』の件で絡まれた時、「若造が本の影響受けて知ったかぶるな」みたいな事を言われた。でもオレはそいつの歳を知らないし、そいつもオレの歳を知っているわけでもないのになんか話にならないと思った。確かに『Getz / Gilberto』に対する否定的な意見を目にした事はあったけれど、逆に肯定的な意見もあって、というか、オレが元々ジャズを聴いていく時に参考にしていたなんかのムックでは、『Getz / Gilberto』は推されているものだった。否定的な意見というのはオレがそのムックを読んで『Gets / Gilberto』を聴いて、それから結構経ってから目にするようになったものなので、そいつのわけのわからない思い込みは全然外れているのだけど、多分、そいつは『Gets / Gilberto』が好きで、それを否定された事が気に入らなくて絡んできたのだと思う。ネットで自分の好きなものを否定されたぐらいでイチイチ反応していたら、キリが無いと思うんだよね。別にいいけど。つーか、しつこく覚えているオレもダメダメだな。

じゃあ『Getz / Gilberto』の何がイマイチかといえば、目にしたことのある否定的な意見と同じで、Getsのサックスがあんまり面白く無い。確かにオレはあまりGetsが好きでは無いのだけれど、でも『The Sound』は好きだし、Kenny Barronとの『People Time』は結構愛聴していた。だから単に、Getzはボサノヴァは向いていないと思っているだけでGetsを否定するつもりはない。物の本によればJoaoはその時のレコーディングでは「お前(Getzの事)にボサノヴァがわかるか、ボケ」と、かなりご立腹だったという事だけど、それならば『Getz / Gilberto #2』とか『The Best of Two Worlds』とか、続編を出してくるのはどうなの?と、誰かJoaoに聞いてみて欲しいけど。



なんか最近、思い出語りばかりで音に触れるのを忘れる傾向。『Gil Luminoso Voz & Violao』は、元々99年に出されたGilの写真集かなんかについていたものらしく、その評判が良くて、この度めでたく単独のCDをして発売された。邦題は『声とギター』で、そのタイトルが示すように、Gil自身の過去作からピックされた曲をギターで弾き語り。ただそれだけのもので、ホントはオリジナルを聴いているほうが、より、この作品を楽しめるのだろうけれど、門外漢のオレが聴いてもそれなりに楽しめる。アメリカン・フォーク的な弾き語りに飽きているけれど、ちょっと違う弾き語りが聴いてみたい人には向いていると思う。