Jerry Lee Lewis

80年代半ば頃からロックを聴くようになって、だけどその頃のメジャーなロックには求心力のあるものは少なく、当時つるんでいた連中とレコードを貸しあったり、ラジオを聴いていればそんなに不自由しなかった。そうこうしているうちに、ちょっと知ったかぶりたい病にかかり、古いロックやロックのルーツと呼ばれるようなものを聴きだすようになったのだけど、その時に一番嵌ったのが50sのロックンロールだった。ここで、ソウルとかR&Bとかファンクとか書けばカッコいいのだろうけれど、ウソをついても仕方がない。

その50sのロックンロールで、一番好きだったのがLittle Richard。馬鹿でかい声とわかりやすい曲調は、Otis ReddingやSam Cookと比べても、アフロ・アメリカン・ポピュラー音楽における最も偉大なシンガーだと思った。というか、今でもそう思っている。マジで。で、他のロックンロール・オリジネイターのBuddy HollyChuck Berry、Carl ParkinsにEddie Cochran、Bo DiddleyやFats Dominoと、どれもこれもわかりやすくて短くてカッコよかった。そして肝心のJerry Lee Lewisは、白人版L.Richardといった感じでピアノを前に派手な動きで歌いまくるし、同じ音をしつこいくらいに連打するという、非常に音楽的なピアノもカッコよかった。

そういったロックンロールの創始者たちは、不幸な事故にあった人も多いのだけど、まだまだまだまだ元気な連中もいる。だけど、なかなか新譜というものが世に出る事が余り無く、実際、活動しているのかどうかもよくわからない。ところが今回、J.L.Lewisが新譜の『Last Man Standing』を出してきた。21曲収録で全ての曲にゲスト・ミュージシャンがいるのだけど、これが笑えるぐらい豪華。つーか、これ笑うとこだよな? 年末だし笑っとけ。









Jerry Lee Lewis 『Last Man Standing』




実は結構前に『Last Man Standing』は手に入れていたのだけど、さすがにこれはここに書かなくてもいいと思っていた。だけど日本盤まで出るという事がわかり、なんかこれはとにかく賞賛しておく必要があると思った。

『Last Man Standing』にはいわゆる新曲というものは無いけれど、ゲストの持ち歌とか、なにか関係ありそうな曲が選ばれていて、残念ながら昔のJ.L.Lewisのヒット曲の再演は無いけれど、そんなことはどうでもいい。さすがにいい齢なJ.L.Lewisだけど、今でもカッコよくロックンロールしていて、それでいい。