Nine Horses

昨日のFenneszの『Endress Summer』から繋げて『Venice』まで聴くという事に更に付け加えるなら、『Blemish』のリミックス盤の『The Good Son vs. The Only Daughter』という事になる。そしてさらにこのリミックスに参加したリミキサー陣につなげてくとするならば、個人的には池田亮司と言いたいところだけど、ここは1人だけ2曲のリミックスを任されているBurnt Friedmanに着目するのが筋だろう。そのFriedmanとDived Sylvianが組んだNine Horsesならば更に筋が通る。



Nine Horsesの1stアルバム『Snow Borne Sorrow』の事は1年ぐらい前に書いたけれど、それから久しぶりにEPというフォーマットで新作『Money for All』を出してきた。これは新曲2曲にFriedmanによる1st収録曲のリミックスが3曲、さらに新曲Money for All」の別バージョンが1曲と同じく新曲「Get the Hell Out」のリミックスが1曲。それらに『Snow Borne Sorrow』の日本盤のみにボートラとして収録されていた1曲を加えた8曲入りで、合計約44分。アルバムとして扱っても問題無いサイズ。



久々に、簡単だけど各曲のインプレ。

1曲目「Money for All」は新曲。微妙に黒い音。

2曲目「Get the Hell Out」も新曲。昨今のクラブ音楽でいうところのジャズ的な曲。

3曲目「The Banality of Evil」はオリジナルからWベースを差し引いたような印象。聴感が大きく変わる。

4曲目「Wonderful World (Burnt Friedman Remix)」は3曲目とは逆に、イントロからWベースを意識させる。

5曲目「Birds SIng for Their Lives」は『Snow Borne Sorrow』の日本盤にボートラとして収録されていたもの。ここでは女性ボーカルがリードを取っていて、Sylvianは歌っていないけれど違和感は無い。

6曲目「Serotonin (Burnt Friedman Remix)」はオリジナルの打ち込み的なドラムが変更されていて、ジャズ的な印象が強くなっている。

7曲目「Money for All (Version)」はタイトルどおりに1曲目の別バージョン。リミックスと銘打っていない事からもわかるように、大きく印象を変えるようなところは少ないけれど、細部は違っている。

8曲目「Get the Hell Out (Burnt Friedman Remix)」も2曲目に収録されている新曲のリミックス。オリジナルでは冒頭をシンセが引っ張るけれど、このリミックスはオリジナルの中盤あたりから出てくるストリングスを冒頭から使って、印象を変えている。









Nine Horses 『Money for All』




オレが『Snow Borne Sorrow』を手に入れたのは昨年の11月前後という事になるのだけど、その時は日本盤の出るアナウンスが無かったので躊躇無く輸入盤を購入した。その後今年の2月に日本盤が出たのだけど、それにはボートラが1曲入っていて「ふざけんな」と思った。それは、購入時は輸入盤もあまり日本盤と違わないぐらいの価格だったという事もあるけれど、『Blemish』も日本盤が結構遅れて出て、それにボートラが1曲入っていてムカつく思いをしたという事があったから。だけど今回は、その日本盤に入っていたボートラが収録されているので、「溜飲を下げた」という気分になった。



あんまり関係は無いけど、ついでなので『The Good Son vs. The Only Daughter』を少し。

この『The Good Son vs. The Only Daughter』もヤバめの音は多い。この中には日本人のミュージシャンもリミキサーとして参加している曲があるのだけど、冒頭の池田亮司によるリミックスは流石としか言いようが無い。池田といえばあの強烈なパルスのイメージが強いけれど、近作の『op.』辺りから通常の楽器的な音を使うことが増え、『The Good Son vs. The Only Daughter』ではピアノとフルート(?)の響きをアブストラクトに生かしたトラックに仕上げている。それに比べて半野喜弘は、折角Baileyのギターの入ったトラックを選んだにもかかわらず(リミックスする曲は、担当するものがそれぞれ好きなものをチョイス)、平凡な仕上がり。冒頭はBaileyのギターの音で始まり、そこにSylvianの声が入ってくるところまではよかったけれど、その後のいかにもなリズムパターン、そしてエレピのコード音が重なってガッカリする。