Fennesz

Fenneszの『Endress Summer』を聴いていると、タイトルの様に夏の終わりを思う人もいるかもしれないけれど、もっと先の終わりも感じる。未来的だけど既に視た感じがある。



David Sylvianの『Blemish』でオレはFenneszの名前を覚える事になった。けど、それまでもニアミスをしていたらしく、実際にはFenneszの連名作は持っていたりしたけど、Fenneszという一人称で作られた音楽を聴いて、Fenneszのファンになる事に時間はかからなかった。代表作であり出世作の『Endress Summer』は、エレクトロニカの傑作というか、金字塔というか、指標というか。この中にある、グリッチ・ノイズだからこそ出来たと言えるリリシズムを聴いて、あっという間にFenneszのCDを集めてしまった。

グリッチ・ノイズとギターで作られた音は、ハーシュ・ノイズの様な高揚感やトリップ感とは違い、内省的で知覚的。音圧に頼らず、現代においては最もありふれた音(グリッチ・ノイズ)とも言える。だから『Endress Summer』は、現在地のフィールド・レコーディングの様にも聴こえる。



その『Endress Summer』が、何故か急にデラックス・エディションというスタイルでリニューアルされた。DEといってもあのシリーズの様に2枚組みになっているわけではなく、3曲増えて新たにリマスタリング、さらにジャケットを変更されたものになっている。元のジャケットはいかにもMegoらしい狙ったダサさがあったものだけど、新しいジャケットは、『Endress Summer』というタイトルから連想されるような写真に置き換わっている。だけど、新しいジャケットもちょっと微妙な感じはするので、誉める事は出来ない。ちなみに旧企画の日本盤にはボートラがついていたけれど、その曲は今回も海外盤では収録されておらず、日本盤のみのボートラになっている。要するに旧規格の海外盤『Endress Summer』に、DEの日本盤は4曲加えた状態。ライナーも、旧規格の佐々木敦氏によるものをそのまま使っている(少し追記はある)。







Fennesz 『Endress Summer』




『Endress Summer』を聴いてこのアルバムが気に入ったならば、次に『Venice』を聴くのではなく、少し間を入れると面白い。『Endress Summer』が直接『Blemish』を生んだわけではないと思うけど、相関的に繋げる事は出来るはずで、Fenneszが日本で行ったライブを収めた『Live in Japan』(2003/2/9のライブ)、『Blemish』の為のBaileyの録音である『To Play』(録音日は2003/2/18)、そして『Blemish』で最後に『Venice』。誰にも賛同は得られそうに無いけれど、我ながらいい並びだと思う。大晦日あたりに自分で聴いてみよう・・・。まあ、幸福感は得られないな。



昨日の続き。結局今日はJohn Lennonを聴いた。こういう機会に聴き返さないと今後いつ聴くのかわからないので聴いておこうと思い、でも何を聴けばいいのか少し悩み、結局『Anthology

』を選択。CD4枚組みの全部は聴いていられないので、飛ばし飛ばしで聴いたけれど、久しぶりにJohn Lennonという人の音楽をじっくり聴いたと思う。個人的にはBeatlesはあんまり好きじゃないのだけど、Johnは、、、『Anthology』を持っていると言った時点で、「あんまり好きじゃない」なんて嘯いても仕方ない、Johnの明らかにロックンロールから逃れきれない感じが好きで、なんやかんやで結構聴いてる。この人の2番目の奥さんは勿論、John自身にもなんとなく胡散臭さを感じる部分は多いのだけど、でも、Johnは歌っている時は素のままで歌っている感じがして、そのストレートな歌が気に入っている。

オレがJohnのアルバムで1番好きなアルバムは『Rock'n'Roll』、殆ど聴いてないのは『Imagine』。斜めった事を書いているように見えるかもしれないけれど、事実だから仕方が無い。『Imagine』はJohnのアルバムでは1番面白く無い。それに比べ『Rock'n' Roll』の疾走感は、50'sのロックンロールが好きなオレにはストレートにガツガツくる。そういえばNirvanaのKurtは、最初『Nevermind』でダブル・ボーカルを使う事を嫌がったらしいのだけど、プロデューサーかなんかが、「John Lennonもダブル・ボーカルやってんじゃん」と言ってKurtを納得させたらしい。この話、ほのぼのとしたいい話だと思うのはオレだけ?