Puzzle Punks

音楽をやっている人、それを英語でミュージシャンと言うのだと思うけれど、ミュージシャンをアーティストと呼んだり、自分自身をアーティストと言うミュージシャンがオレは嫌いで、でもオレの好きな音楽をやっているミュージシャンの中にも、自分自身をアーティストと呼ぶ奴がいる。そういう事を思うようになって自分の中で矛盾が出るようになってから、音楽とそれをやっている人の人格は別物としてみるようになった。アーティスト=芸術家という短絡ではダメかもしれないけれど、でも恐らく、アーティストと言うときは、殆ど芸術家という意味で使っているように思う。だけどなんで、音楽をやっているのにアーティストと言う言葉に置き換えたがるのかがわからない。じゃあ何かに秀でているものとして、あるいはさらに拡大解釈で得意なものがある場合においてアーティストと呼ぶとするならば、お笑いタレントも左官屋もセールスマンもオレオレ詐欺もホステスもガードマンも、それぞれの職業においてアーティストと呼べるような技能を持った人はたくさんいる。



相変わらずわけのわからない事を書いているのは、要するにイヤミを書きたいのだけど、それを書こうと思ったのはPuzzle Punksの『Puzzoo』の感想を書いておこうと思ったから。Puzzle Punksのメンバーは、BoredomsヤマンタカEYEと、オゲージュツ家の大竹伸朗の2人。なんでオゲージュツ家が音楽やる必要があるんだ?と言いたいわけだけど、オゲージュツ家=アーティストで、ミュージシャンもアーティストだから問題無いわけだ。



と、しつこくイヤミを書いたところで、誰からも賛同は得られない。Puzzle Punksは1stアルバムの『Pipeline』を持っていて、なんとなく

ジャンキーないい加減な音だと思いながら聴いていた。というかBoredoms周辺のものだから聴いていたのだけど、良くも悪くも音に対するそれ以上の感想は覚えていない。CDよりも同梱されていた「ヤマンタカ日記」の方が面白かったし。悪くは無いけれど特に気に入ったわけでもない状態で、だから2ndの『Budub』が発売されても購入に至らず、気にも留めてなかった。それが今年の9月に急にPuzzle Punksの新作が店頭に置かれていて、「まだやってたか・・・」と、少し呆れ気味でCDを手にとり何故か購入。だけどやはり期待していないので最近まで聴いてなかったけど、それをMZN3 / 八木さんのライブの帰りにiPodで聴き(なんかこの間似たような事あった)、結構面白いという事に気づいた。特に新しいと思うようなものではなく、オレの思う言葉でいえばジャンキーなファンク。といっても、そんなにファンキーなリズムでもないのだけど、他に言葉が浮かばない。とにかく、一定のジャンキーな音のリズムに乗って、ジャンキーな上物が絡んでいったりいかなかったりしていて、この音の質感が嫌いじゃなければ、結構ハマる。オレは結局ハマった。実のところ、ちょっとケチをつけるために買ったようなCDなのに、まさかこのような展開になるとは思わなかった。相変わらず自分の了見の狭さというか、相変わらずの偏見に呆れる。



『Puzzoo』で、EYEが何をやって大竹が何をやっているのかよくわからないけれど、大竹は「ダブ平」とかいうギターを演奏する装置を作ってそれを使っているみたいで、多分それは自動ピアノの様にシーケンサー的なものでコントロールされている。それがリズムギターを演奏し、それに対して色んな音が絡んでいる。まあ、たったそれだけのものだけど、それが何故か良い。









Puzzle Punks 『Puzzoo』




オゲージュツ家なヤツが嫌いというような事は前にも書いたかもしれないけれど、本当はオゲージュツ家が嫌いという事ではなく、それを持ち上げているヤツラが苦手。amazon.co.jpを使えば安く買えるものを、わざわざABCに行って、そこで買ってきたという事を主張したがるようなヤツラとか、「僕はデザイナーなので、WindowsじゃなくてMacじゃないとー」とかほざいているヤツと言ったほうがわかりやすいか。



じゃなくて。『Puzzoo』は、大竹の「全景」というちょっと規模の大きい個展に絡めたものなのだろう。それは『Puzzoo』は新譜だけど新録では無く、オレの買わなかった2ndの『Budub』と同じ時期に録音して未発表だったものという事なので、それをこのタイミングで出してくるのは偶然とは思えない。かなり商売っ気の強い作品と言える。けど、気に入ったからいいや。