Rovo

Rovo面子をよくよく見ると、(今更ながら)かなりスーパーなバンドだと思う。ただ、面子の割にはささくれ立っていない感じがして、あまり熱心に聴いていなかった。だから手持ちのCDも他に聴くものが無い時になんとなく買ってしまったものが多い。新作の『Condor』も、レコファンタワレコか覚えていないけど、とにかく軽めのディスプレイに気づいてなんとなく購入。だけどCD1枚で1曲(トラック上は3曲でいわゆる組曲形式)という構成の為、聴かずに眠らせていた。それを最近やっとちゃんと聴いて、「やばい、ライブ見たい」感が強くなった。『Condor』を聴く前に一番気に入っていたのが『Live at Magasin 4』だったので、1度はライブを見るべきなんだろうと思ってはいたのだけど、基本的にフェスとかのブッキングの多いバンドなのでなかなか見に行くチャンスが無かった。だけど『Condor』を聴いて、このCDにはまりつつある状況が「ライブ見たい」気持ちに拍車をかける。

『Condor』は、たとえば今までのRovoと大きくイメージを変えるものではないと思う。だけどドラマチックという恥ずかしい言葉が似合いそうな約55分は、プログレとグルーヴの融合がここで結実したと勝手に思い込めるような完成度。躍動的なリズムを叩き出す芳垣安洋岡部洋一のドラミング、方向性を先導する原田仁のベース、空間を作り上げる山本精一のギターと益子樹のシンセ、それらの下地によって鮮明に浮かび上がる勝井祐二のヴァイオリン。ラストに雪崩れ込む為の長い時間は、完璧な必然。









Rovo 『Condor』




1つの曲を組曲形式で3つのトラックに分けているせいか、なんとなくJohn Coltraneの『A Love Supreme』を連想してしまう。内なるものに向かっていく『A Love Supreme』と、解き放たれようとする『Condor』の方向性は全然違うものだけど、2曲目がベースの先導によって始まるところと、3曲目のための序章だと思えるところが似通っていると感じるところだと思う。

『Condor』を聴いていると、これが西洋の音楽でない事を強く感じる。それは、主旋律が西洋のもつ意識とはかけ離れているからで、オレの聴いた感じで言えば、フォルクローレ的な印象になる。これを終始壊さず提示し続ける勝井のヴァイオリンと、危ういながらも前に出ることを控え続ける山本のギター&益子のシンセ、その太い音でグルーヴを維持する原田のベース、ラストに向けて、少しずつスピードを上げながらもずれる事の無い芳垣と岡部のツイン・ドラムが作り上げる約55分間の表現は、高揚とか陶酔とか、そういう言葉と関係している。



今まで書いた事が無いと思うけど、今回だけはハッキリ言って「買い」。もちろん、歌が無ければダメとか、長い演奏は嫌いとか、4つ打ちじゃなきゃグルーヴを感じないとか、アヴァンギャルドじゃなきゃカッコ悪いとか、そういう人達に聴けと言うつもりは無いけれど、そうじゃなければこれは買って聴いて欲しい。別にオレの張ったリンクを使わなくていいので、『Condor』は聴いておくべき。



と思ったけど、やっぱ買って聴いてツマランと言われたらムカつくので、タワレコの特集ページに張られているRovoのHPで短いプロモ(ライブ映像)を見ることが出来るので、ここでチェックして面白そうだと思ったら買ってください。でもこれ、かなりラストのところなので、こんなネタ晴らしみたいな映像見せてしまって良いのか?、と、思ったけど。