Sex Mob

普段、日常生活のなかで誰かと話する時に音楽の話をすることはほとんど無い。ボーっとしている時は「あれいつ出るんだっけ? 国内盤はボートラ付くのか?」とか、そういうことしか考えていないけれど、職場でまともにそういう話をすることはまず無い。まれに少しだけ音楽絡みの話をする相手がいるけれど、その人と話すのはDTMのためのソフトやハードの話だけ。で、その人はおいといて、その人以外で話した相手で思い出したのが、U.F.O.が好きという奴と話した時で、そいつに以前いくらかまとめてCDを貸したのだけど、それの返却後にその中で気に入ったものがあると言われ、「どれ?」と聞いたら、「Sex Mob良いっすねえ」と。他人が結構いる場で、はっきりと聞こえるぐらいの声量でSex Mobと言いやがる。「ああ・・・」と、オレ。Sex Mobの知名度スカパラぐらいあれば周りにいる連中も音楽の話だとわかるだろうけれど、「Sex Mob良いっすねえ」だけだと若干危険だろ? そういう場合はS-Mobという具合にちょっと略すとか、「あのジャズっぽいバンドのSex Mob」という感じに前説付けるとか、色々あるだろ?、と。頭の中で考えながら、「そういえば高校生ぐらいの時、上条淳士の『Sex』の話する時も、人前なら必ず「上条淳士の・・・」って言ってたよなあ」等と考えていた。

で、そのSM(Sex Mobを略してる)の新作『Sexotica』は、おなじみThirsty EarのThe Blue Seriesからリリース(SMはこのレーベルからは初)。店頭ではタワレコぐらいでしか見つけきれず、確か¥2,410だった。「高い」と思い一旦保留→結局購入といういつものパターンを踏襲。SMは、ちょっとふざけた感じのアヴァン・ジャズと言えばわかりやすいはず。藤井郷子のNYオケに参加しているSteven Bernsteinがリーダーなのだと思う。興味を持ったきっかけは、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったKnitting Factoryのレーベルから作品が出ていたからで、多分その頃のオレは藤井郷子の事は知らなかったと思うので、Stonesのカバーなどが入っていた事が購入につながったのだと思う。その後、SMはジャム・バンドとかいうカテゴリーにされていることを知ったのだけど、他のジャム・バンドと呼ばれているバンドの音を聴いた事が無いので、ジャム・バンドというのがどういう意味なのかいまだに理解していない。

肝心の『Sexotica』は、Good and Evil(Danny Blume / Chris Kelly)がプロデュースとサンプリングとかプログラミングを手がけているようだけど、TBLらしいエレクトロニカ+ジャズ路線になっているのは多分その2人の仕事(多分というのは、Good and Evilという連中をここで初めて知ったから)。ゆるさがらしさなのがSMの持ち味なので、丁丁発止なソロ等は期待できないとういか、鼻っから期待していないのだけど、エレクトロニカな音が加わることによって少し殺気立つかも?と思ったりもしたけれど、全然そんなことは無い。リズムはなんとなくヒップホップ的に思えるものもあるし、ドラムが人力エコーとかかましていたりする。なんかやっぱりゆるくて良い。









Sex Mob 『Sexotica』




エレクトロニカが加わったと言っても、そんなに大したことは無い。元々多少そういう処理があったバンドなので、個人的には今までと特に印象は変わらない。

Matthew Shippがこの作品にどれ位関わっているのか、或いはミュージシャンとしての立場以外ではTBLに関わっていないのかもしれないけれど、今年の初頭にShippが出していた『One』はピアノ・ソロだった事を思えば、Shippは既にTBLでのエレクトロニカ+ジャズという事に拘っていないのかも。だけど『One』はエレクトロニカを通過してきたピアノ・ソロであるという事を感じ取る事が出来る。直接的にエレクトロニカな音が現れていなくても、昔のShippのピアノ・ソロと聴き比べれば、オレの言いたい事はわかるはず。