J Dilla (aka Jay Dee)

前作『Donuts』はインスト集だったし、J Dillaの死去というニュースもあって、少し複雑な気分だった。だけど、とりあえずの遺作として発表された『The Shining』はゲスト・ラッパーを多数含んだ作品。この作品の国内盤を購入して、ライナーを読んで今更わかったのだけど、DillaはATCQやCommonと言った、オレの好きなミュージシャンのトラックを作っていたりして、あまり意識して無くてもDillaの音は結構聴いていた事になる。

『The Shining』は、若干アブストラクトなトラックに、Busta Rhymesアジテーションのようなラップがのった短い曲で幕を開ける。続く「E=MC2」で、ヴォーコーダーを使ったような声ネタをサンプリングし、それに入ってくるリズムを聴いた瞬間からこのアルバムが好きになった。ループによって生み出されるグルーヴの完成度は、既にR&Bとヒップホップには境目がなくなったことを証明しているようで、これだけの音が作れるDillaの才能の消失は大きい。









J Dilla 『The Shining』




わずか40分足らずの、作りかけのアルバムのようだけど、無駄に長いものが多いヒップホップのアルバムは聴いていられないオレにとって、この長さは理想的。

『The Shining』のインスト・バージョンのCDもあるみたいなので、これもそのうち聴く事になるのは確定。