恐山

別にイタコが作ったユニットのライブに行った訳ではない。恐山というのは、Jim O'Rourkeの新しいユニット名で、ベースのDarin GrayとドラムのChris Corsanoのトリオ編成。現在日本に住んでいるO'Rourkeが、アメリカから2人を呼んで恐山という名義でライブを行った。昨夜はその初日で、いつもの様にピットインに行った。

O'Rourkeの「頭の中で常に鳴り響いている音」を作り出す為のバンドが恐山のコンセプト。だから恐山の音=今のO'Rourkeの音になる。それはかなりエクスペリメンタルな音だった。そしてこのバンドの特徴は沸点に達するのが速い事。序盤は手探りのように進む事がこの手の音には多いのだけど、ハードな音に到達する時間が恐山は短い。さらに驚くのは、その沸点に達してからそれを維持する時間の長さ。テンションの高い状態が長く、だから壮絶な音を観客も長く聴く事になる。それを演奏として成功させるには、その中でもいくらかの展開が無ければ厳しいと思うけれど、恐山はそれをクリアしていたと思う。

Grayの唸るベース、Corsanoの疲れを知らないドラミングも申し分無い。だけど昨夜、やはり一番目を引いたのはO'Rourke。特に2ndでの、座っていた椅子から転げ落ちながらも体を動かし続ける様は、O'Rourkeでもこんなにテンションが上がる瞬間があるのか、と、少し驚いた。




昨夜のO'RourkeのMCは日本語になっていて、微笑ましかった。まだ1年足らずの滞在にも関わらず、ちゃんと聞き取れるレベルの日本語をしゃべれるようになっている事って結構凄い事じゃないだろうか? 分野は違うけれど、選手として監督として長い事日本にいながら、「喋る」という事が全然出来なかった今はトルコのクラブチームで監督をやっている人もいるのに。それってやっぱり、O'Rourkeは日本を好きでいてくれて、それなりの敬意を払ってくれているという事だと思う(明日に続く)。