Tortoise

Tortoiseのレア音源を集めた『A Lazarus Taxon』。CD3枚+DVD1枚というボリュームで、国内盤(と言っても輸入盤にライナーの翻訳をくっつけただけ)でも¥3,500というのはかなりの低価格。一応なんとか一通り見聴きしたのだけど、さすがに少々時間がかかった。Bonnie‘Prince’Billyとの『The Brave and The Bold』が出た時にも少し書いたのだけど、オレがTortoiseを聴き始めたのが2ndアルバムの『Millions Now Living Will Never Die』からで、これを輸入盤で購入したのだけど、国内盤にはボートラが4曲も付いていて、しかもそのうちの1曲は「Gamera」というタイトル。かなり興味をそそられる。でも、同じものを買うのは躊躇いがあるので、手を出さずにいた。その「Gamera」が今回の『A Lazarus Taxon』に収められていて、個人的にはかなり嬉しい。しかもDisc1の1曲目なので、最も集中力の高い時点で聴く事が出来た。で、「Gamera」。別にこんなタイトルだからといって、怪獣の声がサンプリングされていたりはしていなかった。曲自体はTortoiseの一面とも言えるフュージョン・チックな曲で、わかりやすいラインを持っている。だけど、楽器の音自体がフュージョンみたいなツルっとした音ではなく、ポスト・ロックならではのざらつきを持った音。そして所々エディット感のある音になっていて、やっぱカッコいい。こういうの、フュージョン・ファンが聴くとどう思うのだろう? 2曲目以降は、特に何も考えずにひたすらTortoiseの音を聴く。個人的にはイマイチなリミックスもあったりするけれど、とばしたくなる程でもない。日本盤のみのボートラとして含まれていたものもいくらかあるので、音源としては手持ちしているものもあるのだけど、だからと言って耳に馴染みがあると言うほどの曲でもないので、新作アルバムを聴いている気分になる。

そしてDisc3の最後の曲になり、やっと一応聴き終える形になるなあ等と考えていたら、その最後の曲「Cornpone Brunch」がやたらとカッコいい。特に終盤のベース・ソロはかなりいい。クレジットを見ると、Mike Wattによる1stアルバムに収められた「Cornpone Brunch」という曲のリミックスで、その説明に「Featuring extra basses by Watt and Kira Roeseler」と書いてある。これは多分、原曲をあまり編集せずにWattとKira Roeselerのベースを重ねたというリミックス。Tortoiseの音の上でブンブン音を響かせるWattとKiraのベースがカッコ良すぎる。この1曲を聴く為だけにCDを買ってもいいぐらい。

PVやライブでの演奏を収めたDVDは、まあ、とくにどうこう言うものでもない、というか、PVはなんか変な感じだし、ライブ映像も特に動きがあるわけでもないので集中力を持ってみるのはちょっと難しい。一番良かったのは最後に収められている「Salt the Skies」なんだけど、これの元のDVD『Burn to Shine』をオレは持っていて、しかもその『Burn to Shine』は結構面白いものだったので、「Salt the Skies」を見終わった後『Burn to Shine』を見たくなった。












ネットショップでの国内盤は既に売り切れ状態。DVDが付いていて値引きしやすかった(されやすかった)せいで、目ざとい連中はネットを使ったのだと思う。オレは発売日にタワレコの店頭で買ったのだけど、まだまだ店頭では普通に売っています(但し価格は定価)。輸入盤は22日なので、どうしてもブックレットを読みたいという事でもなければ、輸入盤でも問題ない(同じものだし)。ちなみに限定盤なので、Tortoiseファンは勿論、ポスト・ロック好きや音響派好きもあたり前に手を出すのだろう。でも、このボックスの性格上、初めてTortoiseを聴くという人には勧めにくいけれど、それもアリな気もする。