芳垣安洋 / 加藤崇之 / 鈴木正人

真夏の芳垣安洋2Days、2日目は前日の井上に変わってギターの加藤崇之を加えたトリオ。加藤のギターは、フリーキーでエレクトリックを駆使した奏法の印象があるけれど、その手のギタリストとしては、珍しくオレの好みではない。それは、少々音が煩過ぎると感じてしまうから。

その加藤を加えた昨夜のライブは、やはり前日に比べるとかなりアグレッシヴ。1stセットは組曲形式の1曲の演奏だったのだけど、これが圧巻だった。加藤はカオス状態の音を放つ。迎え撃つ芳垣、はじめは小物を使った音が目立つ。だけど途中から、前日には見られなかった切れた状態のスネア叩きが炸裂する場面有り。ベースの鈴木は必要以上の反応は立場的に出来ないながらも、的確に演奏を支えている。なんて言うか、70年代Milesバンド(またかよ)が、フリーキーな演奏をやっているかのようだった。

2ndセットは鈴木や加藤の曲を何曲か演奏。ここでの出色は最後の加藤の「皇帝」という曲。2ndでは最も長尺な演奏で、なんて言うか、70年代Milesバンド(また・・)をバックにSantanaが加わって、自曲を演奏しながら好き放題ギターを弾いているといった感じ。

たった3人であれだけの音を出すというのはあまり無い。そういった意味でもなかなか面白い演奏だった。




加藤のギターは、オレが今まで何度か聴いた中では最も面白かった。今回のような編成は、彼のギターのスタイルには向いているのかもしれない。

それと、加藤のギターを聴いていて、内橋和久が好んで使うコードを同じコードをよく使っていたと思う。その類似性は、キャリア的に言えば内橋が加藤に影響を受けたと考えるのが筋だと思うけれど、なんとなく偶然の一致という気もする。エレクトリックな展開等も含めて考えれば、この2人はタイプ的には近い演奏をするといえる。だけど個性の違いがあって、加藤は混沌とした音が強く、内橋は透明度の高い音の印象が強い。どちらもかなり変体的(by 芳垣)なギタリストだと言えるけれど、その個性の違いがオレに内橋の音を好ませる要因なのだと思う。