Scott Walker

元The Walker BrothersのScott Walker。The Walker Brothersはヒットチャートの為のグループという印象が強いけれど、それ以降、Scott Walkerという人は、ショービズ的な日の当たるところではなく、自己表現の為の音楽を作ってきたらしい。11年ぶりの新作は、なんと4ADから発表。63歳、元ヒットチャート・グループ、4ADというタームは食指をそそられる。

枯れた表現を期待しつつも、4ADらしい音であって欲しいとも思う。そう考えながら『The Drift』を聴く。結果オレのイメージの中にある4ADらしい音だった。暗くて、ヨーロッパ沈美主義的で、陰鬱。それがオレの4ADに対するイメージで、『The Drift』は正しくそういう音。所々インダストリアルな感触もあるけれど、それはMinistryのようなある種の高揚感を生み出す類ではなく、どちらかと言えばNine Inch Nales的な退廃的な表現。そしてWalkerの声はかなり個性的で、この声がよりいっそう、音楽を深いところに引き寄せている(ちなみにWalkerの声はAntony(and the Johnsons)と似ていると思う)。

このアルバムを気に入ったか?と聞かれれば、今のところは気に入ったとは答えにくい。ここまで暗い音は、なかなか受け入れにくい。ただ、このアルバムは現代の先鋭の部分とコミットした音になっている事は確かで、タイミングさえあえば、思いっきりはまってしまいそうな磁力は感じる。









Scott Walker 『The Drift』