Youssou N'dour

Youssou N'dourが来日公演を行うのにあわせて、現在のところの最新作『Egypt』がやっと国内盤として発売された。この『Egypt』は、既に2年程前に発表されたものだけど、今回まで国内盤化が見送られていた。らしい。というのも、オレは発売後すぐに輸入盤で購入していたので、国内盤のことを気に留めてなかった。Youssouほどのミュージシャンのアルバム、しかもわけのわからない小レーベルとかじゃなく、Nonsuchから出したアルバムがそういう状態にされていたという事が、今の日本におけるアフリカン・ポップスの位置なのかもしれない。

Youssouは、これもわかりやすい事に、Peter Gabriel経由で知った。Gabrielの『So』というアルバムに入っている「In Your Eyes」で、曲の最後のほうで入ってくるアフリカン・ヴォーカルがカッコよくて、最初は「アフリカのヴォーカルってのもカッコいいな」ぐらいにしか思っていなかったのだけど、その後ワールド・ミュージックと言われるものが流行りになり、その中で紹介されたYoussouの経歴を見て、あの「In Your Eyes」でのヴォーカルがYoussouである事を知った。それで当時は簡単にCDを買う財力は無かったけれど、なんとかその時唯一のYoussou名義のCD、『Nelson Mandela』を購入。強烈に嵌りはしなかったけれど、この辺の音が面白いという事を気付かせてくれた。その後再発された『Immigres』をはさんで『The Lion』や『Set』といった、アフリカ以外の市場を睨んだ作品が発表され、Youssouもどんどん浸透していった。だけど、その後Sonyに移籍し、そこから発売された『Eyes Open』あたりから、あまり面白いと思えなくなっていた。それは、ヴォーカルはYoussouだけど、トラックは別にYoussouじゃなくてもいいと思えるような音に変わっていたからだと思う。正直言って、このあたりでYoussouには興味を失っていた。だけど??年にYoussouの来日公演がブルーノート(!!)であり、一度生で見てみたいと思っていたので、そのライブを見に行った。ライブは、CDのつまらなさとは無縁のグルーヴがあって、もう一度Youssouに期待できるかもしれないと思うようになる。そしてその後、Nonsuchより『Nothing's in Vain』を発表。洗練されたアコースティック感覚とYoussouのヴォーカルの絡みが好きで、それまでオレがYoussouのアルバムで最も好きだった『Set』に並ぶぐらい好きになった。



『Egypt』は『Nothing's in Vain』に続く作品。これは、制作当時(2001年?)、イスラム教に対する世の中の見方が、(悪い方に)変化し始めた時に、イスラム教の教典はそういう事ではないという事を訴える為に作ったといわれている。オレが持っているのは輸入盤なので歌詞の意味は全然わからないけれど、タイトルから感じるように、アラブ的な音を用いている。だけど、やはり全体的にはYoussouの体からにじみ出る音が反映されていて、強烈にアラビックな音を感じるという事はない。本当は歌っている内容がわかった方がこのアルバムを理解出来るのだろうけれど、そういう事がわからずともこの音を楽しむ事が出来た。

ちなみに夏向き。









Youssou N'dour 『Egypt』




ディスコグラフィー的な事を言えば、『Egypt』は『Nothing's in Vain』より後に発表されているけれど、録音は『Egypt』の方が古い(?)らしい。さらに、Youssouは自国のセネガルとワールドワイド向けのディスコグラフィーは別になっているらしく、セネガルでのみ発売されているものもいくらかあるらしい。