Richard Bona

なるべくどのジャンルもわけ隔てなく聴きたいと思っている。それは広く浅くを意味しているのだけど、それでも苦手なジャンルがある。それは日本のヒットチャート系と、俗に言うフュージョン。日本のヒットチャート系というのはジャンルじゃないだろといわれると思うけれど、何故かその辺の音は、同じように聴こえる。全部がダメというつもりは無いし、たまにはいいと思うのもあるけれど、その程度でしかなくて、とてもCDを買うところにまでは至らない。もう一方のフュージョンは、まあ、これも大体が同じように聴こえるというのがよくない。Jaco Pastoriusのように多少は耳にしているものもあって、そういうのは演奏よりも、曲の良さという点で評価していたりする。Jacoは演奏も凄いのだけど、あんまりJacoを持ち上げるのは気恥ずかしい気持ちになるので、珍しくフュージョンでは好きなミュージシャンというぐらいのポジションにしている。

Richard Bonaはそのフュージョン界において、Jacoと比べられたりするような凄腕のベーシスト。だけど、フュージョンなので基本的にはシカトぶっこいていた。だけど、一昨年出たGerald TotoとLokua Kanzaとの連名作『Toto Bona Lokua』は、フュージョンというよりもアフリカ的なワールド・ミュージックという事で興味を持ち、思い切って購入。これがなかなか良くて、その夏のヘビー・ローテーションだった。そして昨年、秋頃だったと思うけど、Bonaの何枚目かはよく知らないけどとにかくソロ作が発売になり、これもワールド・ミュージック路線らしいとわかり、購入しようかと思ったけれど国内盤先行発売で、その解説がオレの嫌いなライターだった為、輸入盤が出るまで保留にしていた。程なくして輸入盤も出回ったと思うのだけど、その頃には既に頭の中からBonaの事は消えていて、最近まですっかり忘れていた。そして、時期もいいのでこの間タワレコでその『Tiki』を購入。



この『Tiki』も、『Toto Bona Lokua』を聴くように、爽やかな抜けるような音が響く。サンバっぽい曲もあったりするけれど、感触としては、モダンなアフリカン・ポップス。アフリカン・ポップスと言えば、結局Youssou N'DourやSalif Keitaのような、優れたヴォーカルばかりを聴いていたので、ここでのBonaの柔らかい歌い方は新鮮。そしてJacoの「Three Woman」という曲をカバーしているのだけど、ここで一瞬聴こえるベースソロの入れ方にBonaのセンスを感じる。ちなみにその「Three Woman」は、調べてみると『』というブートレグまがいのものぐらいでしか見当たらない曲だけど、一聴してJqcoの曲という事はわかる。また、ストリングスの使い方も効果的で、バックでの装飾的な使い方だけではなく、リフをストリングスに任せている曲があって、これはオレ的にはアフリカン・ポップスとしてはあまり聴いた事の無い手法で、それにも斬新なものを感じた。

ヤバイ。気に入ってしまった。とりあえず夏の間に聴く回数は多くなる。









Richard Bona 『Tiki




広く浅くの浅くと言うのは重要で、そうしないととてもじゃないけど財布が追いつかない。そのせいで、アフリカン・ポップスと言うものでは、YoussouとSalifぐらいしかまともに聴いていないけれど、そういう浅い聴き方で言えば、アフリカン・ポップスというのは、以外にも土着的というより、フュージョン的な音を使っていたりする。それはなんでそういう風になっているのか?、と考えたりしていたのだけど、数年前購入したHugh Traceyという研究家が現地で録音した『南コンゴ、北ジンバブエにおけるギター・ミュージックの始まり』という、アフリカにおけるギターを使った曲を集めたものを聴いて、少し納得した。それを聴く前には、なんとなくジュジューカ的な音を想像していたのだけど、以外にも洗練された音を発している。その音の記憶が、フュージョン的な音と絡み付いて、現在のアフリカポピュラー音楽を形成しているのじゃないだろうか?、と考えるようになった。

一つ恥をさらしておかなければイケナイと思う。オレはアフリカン・ポップスと言うものを一まとめにして聴いてしまっているぐらいの浅さなので、本当はそれぞれの国の傾向とか、せめて東西南北での傾向ぐらいはわかっていないと、知ったかぶりも書いてはイケナイとわかっているのだけど、今回は勢いで思った事を連ねてみた。大体Fela Kutiの音を考えれば、とてもYoussouと一括りには出来ないし。



で、Bonaの他のアルバムを調べてみると、コテコテなフュージョンというわけでもなさそうで、元々今回聴いた『Tiki』のような音と思えるような説明が載っていた。そうなると、以前のソロも聴いてみる必要が出てきたかもしれない。