Johnny Cash

映画『Walk the Line』で日本でも多少知名度が上がったと思われるJohnny Cash。その映画は未見だけど、それはただの物語だからあまり興味が無いと言うのが本音。

カントリー歌手という事で、オレはCashをあまり気に留めていなかった。Bob Dylanとの「Girl from the North Country」もDylanのお遊びだろうと思い、その曲の入っているアルバム『Nashville Skyline』も買わなかった。そんな状態でオレの手元にあったCashの歌の入ったものは、『Million Doller Qurtet』と『Class 55』というアルバム。『Million Doller Qurtet』は、1956にElvis Presley、Carl Parkins、Jerry Lee LouisにCashを含めた4人のセッションを収めたもので、『Class 55』は、80年代にその面子を再び集め、セッションしたもの(もちろPresleyは存命じゃなかったので、代わりにRoy Orbisonが参加)。Cashに対して、元々はその程度の興味しかなかった。それが一変するきっかけになったのは、CashがAmerican Recordingsに移籍し、その事に興味を持ったオレはAmerican Recordingsでの初作『American Recordings』を試しに買ってみた事だった。



カントリーのイメージ、それは古い音楽で、一見現在ではナツメロのような存在だと思っていた。だけど、アメリカの白人、それも地方のアメリカの白人には最も親しまれている音楽であり、ナツメロなんかではなく、彼らにとってはいつでも現在の音楽。だけど、それを愛好している彼らとオレはあまりにも違う。だから彼らにとって現在でも、オレにとっては古そうな音としてしか認識できない。だからカントリーの大御所のCashといっても、大きな興味を持てなかった。

それが『American Recordings』を聴いて、それまでのオレのCashに対する考え方を改めざるを得なくなった。

深い声。それは、物凄く大きなものだった。歌声だけで音楽を最上のものにしてしまうという事は、わずかな歌手からしか感じられなかった。Otis、Nusrat、この2人ぐらいしか、オレは歌う事の凄さというものを感じた事は無かった。そこに新しく加わったのがCashで、それ以降、オレのリストは更新されていない。



そのCashの新作、もちろん生前に録った音だけど、それが突然のように店頭に並んでいた。渋谷タワレコの5階、ジャズとワールド系、ブルース、カントリー、アヴァン系などが置かれているフロアーのカントリーコーナーで、その新作はディスプレイされていた。オレはそれをベスト盤だと思った。ジャケットはいかにもAmerican Recordingsだし、『Walk the Line』に便乗してベスト盤を出してきたか、或いは再プッシュしているかのどちらかだと思った。だから一度素通りしようと思ったのだけど、ポップに新作と書いてあり、「ベストに新作もクソもねーだろ」とブツブツいいそうになりながら手にとって見た。ところがそれは本当に新作で、American Recordingsでの録音。『Unearthed』で、録音したもので使えそうのものは全て出したと思っていたのに、実はまだ残していたのか。結構商売上手なRick Rubin。してやられた感はあるけれど、これは嬉しいものであることはいうまでも無く、国内盤など悠長に待ってもいられないのでそそくさ輸入盤を購入した。









Johnny Cash 『American V: A Hundred Highways




作品のインプレが無い?

インプレが要るのか?、と。シンプルな演奏でJohnny Cashがあの声で歌っている。

その事実に対して、他に言う事は無い。