Friction

昨夜手にした『Live in Roma』(『Live at “Ex Mattatoio” in Roma』の事)は、『79 Live』(元々は『ed '79 Live』というタイトル。但しソースが違う為、別物として扱うべきという意見もある)と同じく元々インディー扱いで、その為あまり流通していなかったんじゃないかと思う。それとFrictionのディスコグラフィーではどちらかというとあまり注目されていなくて、だから『Live in Roma』のCD化という事はあまり想像していなかった。それが今回こうやって手に入った事によって、一応Frictionが公にした音は殆ど聴いたと思う。だけど勿論、「今後」を期待しつづけていくので、これからはまた、初めて聴く音が増えていく事になるはず。

『Live in Roma』を手にして、ディスコグラフィーを考えて、一つ気付いた事があった。それは、『軋轢』に対する『79 Live』、『Skin Deep』に対する『Live in Roma』、『Replicant Walk』に対する『Dumb Numb CD』と、オリジナル・アルバムの後に必ずライブ・アルバムを出しているという事。ところが95年の『Zone Tripper』には対するライブ・アルバムが無い。だけど、『Zone Tripper』には『Remixxx + One』というリミックス・アルバムがあって、これが対するという意味では当てはまると思うし、ライブ・アルバムの変わりにリミックス・アルバムというのも、時代を象徴していて面白い。ところが、そんな事を考えたあと『Live in Roma』のライナーを読むと同じような事が書いてあって、読んだ後にここに書くというのは、なんとなくパクッたようで気が引ける。だけど、どうせ読んでいる人が多いわけじゃないので、気にしないことにした。

「対する」という事を、意図的にやっているかどうかわからないけれど、オリジナル・アルバム4枚に対してライブ盤3枚というのは明らかに多いし、少なくても『79 Live』は『軋轢』に対するものである事はハッキリしている。それは『軋轢』の音に満足できなかったFrictionが、『'ed 79』を出したという有名な話で、その辺はレックのインタビュー(『ロック画報19』が入手しやすい)に詳しい。少しずれたけど、やはり『Live in Roma』を聴くのなら、時系列的にも『Skin Deep』を先に聴いた方がいいと思う。まあ、その辺を考慮しての、『Skin Deep』の再発と『Live in Roma』は同時発売なのだと思うけど。



『Skin Deep』(再発のはリマスター盤だから、どうせまた買うのだろう・・・)は1stの『軋轢』とは違い、スピードを落として、うねるようなへヴィネスを押し出した作品。このアルバムを手に入れた当初は、他のアルバムとのスピード感の違いのせいであまり耳にしなかった。だけど今は、そのへヴィさと、それでもクールな音の感触が好きで、特に暑い時期はこのアルバムを耳にする事が多い(ダブ的でもあるし)。『Live in Roma』はその作品を踏まえてのライブなわけで、当然、アレンジなどは『Skin Deep』を基にしている。だけど、『軋轢』でライブ感溢れる音を刻めなかったという反省からか、『Skin Deep』は極めてスタジオ的な音作りで(スタジオで録るという事と、ライブは別物と割り切ったと思う)、ライブにおいては再現しにくい音もある。それをライブで演奏するという事をやったのが『Live in Roma』で、だから単純にスタジオの音よりもライブ感が増した音になり、生々しくなった。スタジオよりも曲が長くなったり、妙にサックスの音が印象的に感じるし、グルーヴ感も増している。だけど、『Skin Deep』でも印象的なダブ的な感触は『Live in Roma』でも活きていて、この時期のFrictionは、その活動期間の中で最も個性的と言えるのかもしれない。









Friction 『Live at “Ex Mattatoio” in Roma』




昨夜のライブを見ていて、というか見た後、Frictionはオレにとっての最高のロックの一つだと確信した。

このバンドを好きというのは簡単だけど、最初期のFrictionの頃はオレはガキで、リアルタイムで買ったアルバムが『Dumb Numb CD』という事が引っかかって(『Replicant Walk』には間に合っていたはず)、なんとなく新参ファンというぐらいの気持ちでしかいられなかった(とは言っても、『軋轢』が初めて買ったFrictionのCDで、それから15年以上経っているのだから新参って言葉は似合わないのだけど)。その後『Zone Tripper』が出た時、そのうちライブを見ようと思っていたのだけど、それが叶わなかった事も影響している。ライブが見れるはずの環境にいてそのライブを見ていなかったというのは、ファンを名乗るっても軽い感じを受ける。

だけど今、Frictionは存在していて、そのライブに接する事が出来て、やっぱりFrictionの曲、ビートが好きだという気持ちはハッキリした。レックはFrictionの初期よりも進んだ音の出し方をしているし、Frictionは間違いなく現在のバンド。だからオレは、これからは躊躇無く勝手に同時代性を感じながら、Frictionが最も注目するロックとして接する事が出来る。