藤井郷子オーケストラ 名古屋 / 東京

藤井郷子オーケストラCD4枚同時発売記念ライブを、一応「<東京の夏>音楽祭2006」とかいうイベントの一環に組み込んだ形にして、昨夜のピットインでライブがあった。今回のライブ、東京オケに加えて名古屋オケをこの夜限りのライブに呼ぶという事で、その資金は相当厳しいらしく、藤井のHPでその援助を願い出るほどだった。

1stセットを名古屋オケ、2ndを東京オケ、3rdを東京+名古屋の東名オケという、かなり豪華な内容でのライブ。今回は3rdがプレイヤー総勢29人、コンダクター1人という状態。藤井はピアノを置くスペースが無い為か、指揮のみになった。

まずは1stセット、東京初見参の名古屋オケ。このオケはどうやら、ほぼ臼井康浩オケといってもいいようなものらしい。1曲目の指揮は藤井によるものだったけれど、2曲目は臼井の曲という事で、臼井が指揮をする。さらに田村夏樹の指揮もある。肝心の演奏は、個人的に最も注目していたのはやはり臼井で、このアグレッシヴなギタリストがオケにおいてどういう演奏をするか、というか、既にCDを聴いているので、実際のライブでどれぐらいの存在感を発揮するのだろう?と、そこが気になっていた。それでその臼井のギター、当然、常に前面に顔を出すわけじゃなくバッキングも含めた形での演奏になるのだけど、その音が聴こえている間はその音が気になる。やはりオレの耳をひきつける。特にアヴァンな音でチリチリやられる時がいい。その臼井以外で気になったのは、ドラムの近藤久峰。時折叩く尖がった音は、Unbeltipo Trioの佐野康夫を彷彿させる。そして名古屋オケ全体としては、アンサンブル時のフリーキーな音の絡みがカッコよかった。

2ndの東京オケ。ここで耳をひきつけるのは早坂紗知のソロ。ライン、切れ味ともに東京名古屋のサックス陣で最も鋭かったと思う。東京オケ全体の印象は、名古屋オケよりも音が大きい事、そして、アンサンブルが上手くはまっていた事。だけどこのバンド、泉邦宏という、多芸なサックス吹きがいるのだけど、ちょっと悪ふざけが多い。まあ、少々ならそういうのも面白いのだけど、加減を知らないのか、個人的にはうんざりしてくる部分もあった。さらにそれに悪乗りするトロンボーン奏者もいて、個人的にはいただけない。

で、最後の3rdセット。とりあえず今回のみのスペシャルプログラム、東名オケ。29+1がステージに所狭しと並ぶ。渋さ知らズがピットインでやる時もこれだけの人数は揃えていないんじゃないだろうか? リズム隊4人プラスギター1人だから、29からマイナスすると24人が管楽器。これが一斉に音を出す。圧巻。マジで。

単なる音の大きさだけならば、アンプで増幅しまくったロックなんかの方がでかい音を出す事が出来る。だけど管楽器の鳴りだけであれだけの音は今まで聴いた事が無く、多分今後もないかもしれない。ちょっと、というか結構、笑えるぐらい凄かった。