Orquesta Nudge! Nudge!

Altered StatesでもVincent Atmicusでも、芳垣安洋のタイコは感情の噴出みたいな感じがしていて、芳垣の音を聴くというのはその放射される熱を感じる事のように思う。まあ、そのキャリアを細かく聴いているわけではないので、実際のところはどうなのか良くわからないけれど。そのわからない部分の一つに上げられそうなのがOrquesta Nudge! Nudge!というグループで、これは基本的に8人(プラス2人増えた)全員がパーカッション奏者として参加しているグループ。VAも主眼の一つは芳垣と岡部洋一のパーカッションの絡みだと思うけど、全編がそれと言うわけではなく、あくまでも上物があることを前提に組まれているバンドと言えるけれど、ONNは上物も全て打楽器かそれに準ずるもので構成されている。

そしてその音楽性は、主軸にReich的なものを感じさせ、それが従来の芳垣のイメージと異なったものに感じる。それは彼等の1stにあたる『BATUKA』を聴けばわかるはず。

グルーヴ溢れる強烈なライブバンドのVA、Reichのような知性を正面に据えたONN。CD上ではライブでのグルーヴが収まりきれないという事でVAには多少の不満が残るけれど、ONNの理知的な音はライブの場での再現はあまり得策じゃなくも思え、そのライブでの再現というものはどういうものになるのか、そんな事を考えながらライブを見る事になった。

昨夜はONNのピットインでのライブ。この間の藤井郷子カルテットのようなアグレッシヴが前面に来てしまうバンドは集客力が弱いけれど、グルーヴが持ち味のバンドは集客力がいい。それはその客層が異なってしまっているという事につながると思う。まあとにかく、22:00からW杯で日本対クロアチア戦があるという中、この日の集客はどうなのだろう?と思っていたけど、きっちり立見までいる状態で、音楽聴く連中はあまりスポーツに興味が無いヤツが多いという事を確認。実際、ミュージシャンにもスポーツ好きは多くなさそうで、別にだからどうと言うわけではないけれど、多分南米はミュージシャンもあたりまえの様にW杯に熱狂しているだろうし、ヨーロッパ(特にUK)も、そういう状況だろうと思った。

前置きがかなり長くなった。初めて見るONNのライブ。ところがメンバーの一人が参加できないという事で、彼がいなければ演奏できない曲が多数ある事に気付き、急遽新曲を2曲作ったという。1stセットはその2曲の新曲の演奏で、1曲目は手元で使う小物をメインに用いての演奏。これがかなり理知的。大まかな構成がありつつ、それを芳垣の指揮により即興的に組み合わせていくもので、個人的にはかなりはまった。続いての曲は徐々に演奏に熱が帯びていくタイプのもので、終盤のスタイルが変化しながらの怒涛のリズムラッシュは驚愕。会場大盛り上がり。

2ndは3曲目の演奏の印象が強い。それと言うのも、パーカッション奏者の岡部の強烈な音が前面に出てくる場面が多く、特に芳垣とのコール&レスポンスは凄まじかった。まあそれはVAでも聴かれるものだけど、どのスタイルであってもこの2人のやり取りは、完全に空間を支配する。

アンコールはVAでおなじみの「屋上の飛行機凧」。これを高良久美子ヴィブラフォンが旋律を奏で、他のメンバーは主に筒状の振ると音が鳴る楽器(よく見かけるけど名前がわからん・・・)を手に持ち、あくまでも叙情的に音を連ねていく。



結局ライブでのONNというのは、CDで感じる部分と、そこには無い部分が合わさったもので、それはライブという場に置いて有効な手段だと思う。

だけど一つ思ったのは、強烈なグルーヴを抜いた、あくまでも知性を前面に押し出したスタイルでライブを貫くというものも見てみたいと思った。









Orquesta Nudge! Nudge! 『BATUKA』




実は、オレは結構サッカーファンで、だからW杯が始まって以来、ブログの更新も滞りがちなのだけど、W杯は4年に1回のお祭りなのでどうしてもサッカー中継を見る事を中心に自分自身の生活すらも回してしまう。でも、昨夜の日本対クロアチア戦は、ONNのライブと天秤にかければONNの方が勝ってしまったわけで、だから試合も後半の途中からしか見ていない。日本代表は、まあ、あんなもんじゃないかと思う。オーストラリア戦のちょっと首をひねらざるを得ない内容に比べれば、オレが見た30分程度の内容はまだ良かったと思うし、ホントにさ、オレが高校ぐらいの頃ってのは、日本代表がW杯に出るなんて夢のまた夢で、オリンピックすら出れない状況だった事を思えば、外野で色々言いながらも、まあ、いいんじゃないかと思っている。

今回のW杯は前回のような大きな波乱も少なく、だからトーナメントはどれもが見るに値する組み合わせになると思う。フランス?、まあ今の時点でハッキリどうなるかわからないけれど、たとえグループ・リーグで敗退したとしても、それは波乱では無いと思う。

個人的にはオランダのサッカーが好きなので、だからオランダを応援しているし、他国にもかかわらず、マジで思いっきり入れ込んでいる。ただ、冷静に見て、もし1戦目にアルゼンチンと当たっていたら、このチームもどうなっていたかわからない。このチームはまだ成長過程で、だから1試合ごとに成長している。今の時点でもブラジルやアルゼンチンに勝てると言い切れるだけの力は備わっていないと思うけれど、今度必要以上に肩の力をいれずにアルゼンチンと戦う事が出来るという権利を得てしまった為、ここで、勝とうが負けようが、必ずプラスの方に作用するはずで、それがトーナメントに向けての大きな財産になる。とか、勝手な事を考えているこの頃。