William Parker

現存しているバンド・ミュージシャンで、ライブを見てみたいものはいくつもあるけれど、そのなかでもかれこれ10年以上、「何で来日しない?」と思っているのがDavid S Wareのカルテット。その間にドラムは3回変わっているけれど、ピアノとベースは変わっていないので、まだこの2人がWareのカルテットにいる間に来日して欲しい。そのカルテットのピアノはMatthew Shippで、以前にもこのBlogにも書いたけれど、藤井郷子と並んで最も好きなピアニスト。そしてベースはWilliam Parker。彼のジャズの歴史を全て習得したような太い音は、WareやShippがいくら暴れようとも、それを余裕で受け入れる事が出来る器を持っている。

そのParkerはソロ名義の作品の新作『Long Hidden: The Olmec Series』は、The Art Ensenble of ChicagoやDon Cherryの様に、アフリカ等の西洋音楽とは違うところにある音を取り込んだスケールの大きい音になっている。ここにある音と先人達との違いは、よりジャズから逸脱し、音にポジティブなものが感じられるところ。多くの曲ではジャズという事を意識させない音になっていると思う。とは言ってもそこはParker、所々に出てくるアグレッシブなフレーズや、ソロ演奏での太い音は、やはりジャズ側の音から出てくるもので、そういう音が違和感無く同居しているところが、このアルバムの大きな特色だといえる。